ショック療法になるか!?世界選手権女子400Mメドレーリレー出場断念

[ 2017年4月20日 15:54 ]

世界水泳の代表選手を発表する平井監督
Photo By スポニチ

 競泳の日本選手権が終わり、同大会で選抜された世界選手権(7月 ブダペスト)代表の合宿が現在、都内で行われている。19日に報道陣に練習が公開され、その際、日本代表の平井伯昌監督の口からショッキングなアナウンスがあった。

 女子400メートルメドレーリレーについて「多分出れません」との見通しを示したのだった。

 メドレーリレーは大会最終日に行われ、どの国も力の入るレース。日本女子は五輪では00年シドニーと12年ロンドンでそれぞれ銅メダルを獲得している。その伝統ある種目のエントリーを断念せざるを得ない状況に日本は追い込まれてしまった。

 今回、女子背泳ぎで代表入りした選手はゼロだった。日本女子の背泳ぎはこれまでシドニー五輪100メートル銀メダリストの中村真衣、200メートル銅メダルの中尾美樹、04年アテネ、08年北京両五輪200メートル銅メダルの中村礼子、ロンドン五輪100メートル銅メダルの寺川綾ら世界的なスイマーを輩出してきた。そのお家芸とも言える種目で近年、急激にレベルが低下。今回の選考会は20年東京五輪へ向けてより多くの選手に経験を積ませる目的で、派遣標準記録を従来の世界ランキング16位(過去3年間の1国2名)から同24位に下げた。女子100メートル背泳ぎは1分0秒25だったが、1位の小西杏奈(中京大)は1分0秒72で、クリアできた選手はいなかった。日本水連は今回、選考基準として公にはしていなかったが、より低いFINA(国際水連)の標準A記録(1分0秒61)をクリアすれば、リレーメンバーとして選出する道も残していた。だが、それすらも届かなかった。

 最近では「(選考会でタイムが悪くても)1位になればメドレーリレーの代表に選出される」という緩んだ空気があったという。平井監督は「選手の目線が下がっている。まず個人種目の派遣標準記録を切ってほしい。個人のメダリストが2人ぐらいいないと、リレーのメダルは取れない。がっくりです」と失望感をあらわにしていた。

 専門外の選手を背泳ぎに起用してメドレーリレーに出場する選択肢もあるが、今回は見送る方針だ。自由形とバタフライで日本記録を持つ池江璃花子というトップスプリンターを擁しながらメドレーリレーに出場できないのは何とも惜しい。

 日本水連は今後、女子背泳ぎなど弱点種目について特別強化合宿の開催などを検討している。今回のメドレーリレー出場断念は女子背泳ぎの選手に奮起を促す意味も大きいだろう。このショック療法がお家芸の危機脱出のきっかけになるか――。(記者コラム・柳田 博)

続きを表示

2017年4月20日のニュース