大迫 初マラソン3位 ペース保ち快走、男子待望のスピードランナー

[ 2017年4月19日 05:30 ]

第121回ボストン・マラソン ( 2017年4月17日    米マサチューセッツ州ボストン )

初マラソンとなるボストン・マラソン男子で、2時間10分28秒をマークし3位に入った大迫
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 男子は初マラソンで25歳の大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が2時間10分28秒で3位と健闘した。日本男子の表彰台は1987年大会を2時間11分50秒で制した瀬古利彦以来30年ぶり。ジョフリー・キルイ(ケニア)が2時間9分37秒で優勝し、昨年のリオデジャネイロ五輪銅メダルのゲーリン・ラップ(米国)が2位だった。世界のトップ選手が集う中で才能の片りんを見せ、20年東京五輪への期待を抱かせた。

 低迷する日本男子マラソン界に希望の光が差した。早大時代は箱根駅伝などで活躍し、15年から米オレゴン州に拠点を置く大迫が強豪を相手に3位に入った。「いい結果が出たことで次につながる。マラソンの適性はあると感じた」と42・195キロ初挑戦で手応えをつかんだ。

 気温が20度を超えた中、前半は2時間3分13秒の記録を持つムタイ(ケニア)らが細かなペースの上げ下げを繰り返した。「惑わされずに自分のペースを守った」と少しずつ減る先頭集団の後ろでリズムを保った。30キロすぎの「心臓破りの丘」と言われる難所の坂で、優勝したキルイらの仕掛けには遅れたものの34キロ手前で先頭争いから落ちた選手をかわして3番手に浮上。40キロまでの5キロは15分7秒とペースを上げ、その座を守った。

 5000メートルの日本記録を持ちリオ五輪はトラック種目で出場。練習でも35キロまでしか走ったことがなかったが初挑戦で世界の強豪を相手に3位は上々。2位のラップらと所属チームで力を磨いた。「週に120、130マイル(約200キロ)走るようになった。去年より20%は増えた」という練習量が好走を呼んだ。

 日本陸連は18日に東京五輪マラソン選考方針を発表。瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(60)は会見冒頭で「私の後輩の大迫選手がボストンで瀬古選手以来の表彰台を果たしました」と報告し「彼のようなスピードランナーがマラソンに挑戦し、いい成績を出したことに凄く意義がある。スピードランナーはどんどん刺激を受けてマラソンに挑戦してほしい」と大迫効果に期待した。

 8月の世界選手権(ロンドン)はトラックでの出場を視野に、6月の日本選手権は1万メートルに挑む。今後のマラソンや東京五輪に向けたマラソン挑戦は明言を避けたものの、25歳は「1本目のマラソンでいいイメージはできた。ポジティブな方向で付き合っていきたい」と意欲をのぞかせた。

 ◆大迫 傑(おおさこ・すぐる)1991年(平3)5月23日、東京都町田市出身の25歳。金井中で本格的に陸上を始め、長野・佐久長聖高2年時に全国高校駅伝優勝。早大では箱根駅伝で1、2年時に1区区間賞、3年時は3区2位、4年時は1区5位。15年に米オレゴン州を拠点にするナイキ・オレゴンプロジェクトに加入。3000メートルは7分40秒09で、5000メートルは13分8秒40で日本記録を保持。昨年リオ五輪は5000メートルで全体28位、1万メートル17位。1メートル70、52キロ。

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