【岡崎真の目】成長した宇野 4回転時代だからこそ光る総合力

[ 2017年3月31日 07:47 ]

フィギュアスケート世界選手権 ( 2017年3月30日    フィンランド・ヘルシンキ )

SPで会心の滑りを見せた宇野昌磨
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 リンクに立った瞬間から悟りを開いたような表情が印象的だった宇野のSPは、素晴らしい出来だったと思う。以前はジャンプの際に流れを失うこともあったが、この日は流れに乗り、加点がもらえるレベルだった。滑りにスピード感があり、氷に吸い付くようなスケーティングも良かった。

 もちろん、宇野の成長は4回転フリップという高得点ジャンプのマスターによるところは大きいが、今大会のように多くの選手が続々と4回転ジャンプを成功させるようなハイレベルな争いになったときに光ったのは、総合力の高さだろう。前述のスケーティングはもちろん、表現力も高い評価を得ている。同じように4回転を跳びながら100点を超える選手と、超えない選手との差は、実はそのあたりの「総合力」にあるとみている。

 一方の羽生、冒頭の4回転ループは完璧だった。しかし、続く4回転サルコーでミス。連続ジャンプにすべきものだっただけに、失った得点は大きい。実は今季のSPで気になっていたのは、4回転サルコーに入っていく際のコース取り。無理のあるコース取りは「絶対に跳べる」という自信の裏返しなのだろうが、安易に入っていけば落とし穴はある。トップとの約11点差は大きなビハインドだが、フリーはベストの演技を期待したい。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2017年3月31日のニュース