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左肩の痛みに耐えてよく頑張った 稀勢、歴史に残る逆転V

大相撲春場所千秋楽 ( 2017年3月26日    エディオンアリーナ大阪 )

稀勢の里は優勝を決め国歌斉唱で涙を浮かべる
Photo By スポニチ

 手負いの新横綱が強じんな精神力で逆転優勝を成し遂げた。横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)は1差で追っていた大関・照ノ富士(25=伊勢ケ浜部屋)を本割で破って13勝2敗で並ぶと、優勝決定戦では土俵際での右小手投げで勝利。2場所連続2度目の優勝は、新横綱としては95年初場所の貴乃花以来、22年ぶり8人目の賜杯となった。直接対決での千秋楽1差逆転優勝は、02年初場所の栃東以来、10人目。13日目に左肩付近を負傷しながら土俵に上がり続け、歴史に残る逆転劇につなげた。

 優勝を決めて支度部屋に戻ってくると、自然と目が潤んできた。土俵に戻り、館内に君が代の大合唱が響くと、涙腺は決壊した。男泣き。出場すら危ぶまれた中で15日間を戦い抜いて手にした優勝に、こみ上げるものを抑えきれなかった。

 「本当にこの応援のおかげと、支えてくれた人のおかげです。何か見えない力を感じた15日間でした」。痛みをこらえて、真っ先に感謝の言葉を口にした。

 13日目の日馬富士戦で左肩付近を負傷し、14日目の鶴竜戦は力を出し切れずに連敗。この日も左肩から左上腕にかけてテーピングで固定し、左からの攻めはほとんどできない状態だった。その中で勝利に固執した。本割では朝稽古で試した右への変化に出たが、手付き不十分で不成立。「同じことはできないから、違うことをしようと思った」と2度目は自身も考えていなかった左への変化に出た。そして右前まわしを許しても右からの突き落としを決めた。

 運命の優勝決定戦。相手の間合いで立たれて日馬富士戦、鶴竜戦と同様にもろ差しを許したが、結果だけが違った。土俵際で執念の右小手投げ。「最後は自分の力以上が出た。諦めずに最後まで力を出してよかった」。抜群の集中力と執念。日々の鍛錬で培われたものが大一番で出た。

 新横綱優勝は8人目。15日制では、優勝32回を誇る大鵬、稀勢の里の入門時の師匠の隆の里、22年前の貴乃花に続く偉業となった。亡き師匠に並んだ形だが、隆の里は15戦全勝での賜杯だっただけに「新横綱で全勝は凄い」と改めて師匠の偉大さを痛感していた。

 初場所後の横綱昇進伝達式から60日。口上で「横綱の名に恥じぬよう精進いたします」と述べたが、これ以上ない感動をファンに与えた。新横綱場所を終えると「今までの相撲人生、15年間とは全く違う場所だった。横綱土俵入りも初めてだし。疲れた」と、ようやく本音がこぼれた。

 今場所は17年ぶりの4横綱でスタートしたが、第一人者の白鵬が途中休場し、皆勤した鶴竜、日馬富士はともに10勝止まり。横綱の務めを果たしたのは稀勢の里だけだった。初優勝からの連覇は7人目。続く夏場所(5月14日初日、両国国技館)では、15日制では初めてとなる初優勝からの3連覇の期待が懸かる。

 「今日(の優勝)はないと思って、また明日からしっかりやりたい。しっかり(ケガを)治して、5月の初日に間に合うようにしたい」。歴史に残る優勝を成し遂げても、愚直に相撲に取り組んでいく。

[ 2017年3月27日 05:30 ]

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