稀勢の里淡々12連勝 先代師匠に次ぐ新横綱場所歴代2位タイ

[ 2017年3月24日 05:30 ]

大相撲春場所12日目 ( 2017年3月23日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲12日目>稀勢の里は寄り切りで荒鷲を破り全勝を守る
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 新横綱の稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)が西前頭4枚目の荒鷲(30=峰崎部屋)を寄り切り、全勝で単独トップを守った。新横綱場所の初日からの12連勝は、15日制が定着した1949年(昭24)秋場所以降では歴代2位に並ぶ記録。平幕との対戦は昨年九州場所から18連勝となった。大関・照ノ富士(25=伊勢ケ浜部屋)が1敗をキープ。関脇・高安(27=田子ノ浦部屋)、平幕・栃煌山(30=春日野部屋)は2敗に後退した。

 新横綱の右肘と右膝には擦り傷があった。それは勝利への執念を示すものだった。しっかり踏み込んで左を差すと、まわしには手がかからなかったが一気に前進した。荒鷲の右上手投げで体勢が崩れかけると、左の差し手をつきつけて右からは渡し込むような格好。前のめりとなり、今場所初めて土俵に倒れ込んだ。だが、体に傷を負っても勝利は逃さず、無傷の12連勝とした。

 勝負に出るのが早かったことは「体が反応した」という。土俵際でヒヤリとさせても「慌てていない?そうっスね。いろいろな展開があるから」といつも通りに淡々と振り返った。

 この日は今場所8度目の平幕との対戦。負ければ金星配給という地位になったが、新横綱場所では阻止した。15日制以降に1場所目で平幕に敗れなかったのは、新横綱場所で休場した吉葉山を除く31人のうち、稀勢の里で11人目。平成以降では旭富士、貴乃花、白鵬に続いて4人目となった。稀勢の里は先場所も平幕に9戦全勝で、昨年九州場所千秋楽から平幕相手に18連勝となった。

 昨年九州場所は3横綱全てに勝ちながら平幕に3敗して優勝を逃したが、今の稀勢の里には番狂わせを許さない強さがある。負けられない重圧はあるかと聞かれても「気にしてない」と言うように、相手が誰でも集中できるようになったことで慌てなくなった。劣勢から立て直して逆転勝ちした相撲もあったが、その要因については、この日の朝稽古後に「どうだろう。自分を信じてやっているだけ」と説明した。

 新横綱の初日からの12連勝は、全勝優勝した隆の里(83年秋)に次ぐ連勝記録。亡き先代師匠(元鳴戸親方)に迫る勢いで、玉の海(70年春)、旭富士(90年秋)に並んだ。11日目までは1差で3人が追いかけていたが、1敗は照ノ富士だけとなった。きょう13日目からは横綱、大関戦を迎える。「しっかり集中してやれればいい」。その心構えは初日から変わらない。心を乱すことなく勝負の3日間に全精力を注ぎ込む。

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