小平2冠 今季11戦全勝 五輪連覇の李寄せ付けず

[ 2017年2月22日 05:30 ]

冬季アジア大会 ( 2017年2月21日    明治北海道十勝オーバルほか )

札幌冬季アジア大会のスピードスケート女子500メートルで優勝し、日の丸を手に歓声に応える小平奈緒
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 スピードスケート女子500メートルの小平奈緒(30=相沢病院)が37秒39で金メダルを獲得した。自身が持っていた国内ベストを0秒31更新し、今季国内外の同種目出場レースで11戦全勝と敵無し。10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪で同種目連覇の李相花(27=韓国)とのライバル対決を制し、来年平昌五輪へ弾みをつけた。女子1500メートルの高木美帆(22=日体大)、男子1000メートルの小田卓朗(24=水戸開発計画研究所)、女子団体追い抜きを含め、この日の4種目を日本勢がすべて制した。

 1年後の五輪で最大の壁となる存在が隣に構えたスタート直前。小平は「お願いします」とつぶやいた。昨年12月のW杯以来、今季2度目となる李相花との直接対決に自然と気合が入る。最初の100メートルこそ0秒08後れを取ったが「コーナーの加速で挽回できる自信があった」と残り400メートルは唯一の26秒台で滑り切った。最後はライバルを0秒31上回る37秒39で逆転勝ち。右拳のガッツポーズで喜びを表現した。

 「国内で37秒台前半を出す舞台がなかったので一つの壁をぶち破ることができた。(中国の于静を含め)世界3強がそろう唯一の種目。いいシミュレーションができた」。昨年末に出した国内ベストを0秒31更新。日の丸を掲げ誇らしげにウイニングランを行った。

 レース後は李相花と握手し談笑した。「奈緒、構えた時に“お願いします”って言ったでしょう?私も同じ気持ちだった」と声を掛けられ「来年はファイトしよう。いいレースをしたいね」と平昌での熱戦を誓い合った。500メートルで五輪2連覇中の李相花に対し、小平は同種目で14年ソチ大会5位が最高成績。「氷の外では友達」と仲は良いが、氷の上では「目標の存在」とリスペクトしている。「ずっと追いかけてきた存在。年下だけど、切磋琢磨(せっさたくま)していい影響を与えてもらった人」という最高のライバルだ。

 これで今季の500メートルではW杯や世界距離別選手権など国内外で11戦全勝。故障明けの李相花にも6戦全勝だ。だが、「足に痛みがまだある。最初の200メートルを滑るとしびれが出る」と李相花が話したように相手の状態がベストではないのも事実。「勝因がどこにあるのかは五輪で勝ってみないと分からない。まだまだ課題だらけ」。アジアの頂点は通過点。4年に1度の大舞台がいかに厳しいものかを熟知しているからこそ、現実を見つめている。

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2017年2月22日のニュース