稀勢の里 相撲同様に心に響く嘘偽りのない言葉

[ 2017年2月19日 09:00 ]

牛久祝賀パレードで沿道のファンの祝福に手を振り応える稀勢の里。左は根本洋治・牛久市長
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 新横綱・稀勢の里は18日に出身地である茨城県牛久市で横綱昇進祝賀パレードを行った。相変わらずのフィーバーぶりで、約1キロの沿道は5万人もの人で埋め尽くされた。その後、牛久市役所では市民栄誉賞贈呈式、市内にある日本で最初の本格的ワイン醸造場「シャトーカミヤ」では祝賀会が開催され、それぞれの会場も人であふれた。

 日本出身では3代目若乃花以来19年ぶりとなる新横綱。1月27日の明治神宮奉納土俵入りが史上2番目の1万8000人を集めたように、すでに国民的人気力士となっている。ただし「江戸の大関より故郷の三段目」と言われるように、故郷の力士が横綱になったのだから、地元の声援はより熱がこもっている。稀勢の里は「苦しい時も声援を送ってくれた」ということを特に感謝しており、横綱昇進後はこの日の催し以外にも、茨城県庁訪問、牛久市役所訪問、茨城県近代美術館でのイベント、郷土後援会主催の祝賀会で地元に足を運んでいる。

 12日の茨城県近代美術館でのイベント、18日の祝賀会ではトークショーが行われたが、地元ということもあって、稀勢の里はいつもより“ガード”を下げて来場者の質問などに答えている。小学校時代の恩師の要請で小結時代に茨城県内の小学校を訪れた際、児童に対し「あいさつ、整理整頓、後始末をしっかりしてください」と話したというエピソードも明かされた。稀勢の里自身、角界入り後はあいさつと掃除がうまくできずに苦労したそうだが、それができると「自然と相撲が強くなった」という。愚直な横綱だけに話を大げさにして語ることはなく、本心しか口にしない。本人は「口べたで話すことは苦手」というが、相撲同様に嘘偽りのない言葉は人の心に響く。

 1月25日の横綱昇進の伝達式での口上は「横綱の名に恥じぬよう精進いたします」という、いたってシンプルなもの。飾らない人柄が如実に表れていた。新横綱場所となる春場所は3月12日に初日を迎える。稽古再開後はしばらく、四股やすり足などの基本運動に時間を割き、2月7日からは弟弟子の高安との稽古を開始した。ここまでは「感覚的には悪くない。まあ、いい感じ」と調整は順調だ。「まだまだ強くなれる」と言い切る稀勢の里は、偽直に稽古を重ね、国民と地元の期待に応えていく。(佐藤 博之)

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2017年2月19日のニュース