高木姉妹「合体」メダル!新種目マススタートで連携キラリ姉“銀”

[ 2017年2月13日 05:30 ]

スピードスケート世界距離別選手権最終日 ( 2017年2月12日    韓国・江陵オーバル )

先頭集団で滑走する2位に入った高木菜那(左から2人目手前)と21位だった高木美帆(左)
Photo By 共同

 1年後の平昌(ピョンチャン)五輪で新種目となる女子マススタートで高木菜那(24=日本電産サンキョー)が2位に入った。妹・美帆(22=日体大)と立てた作戦通りに残り1周を切って先頭に。最後の直線で金ボルム(韓国)に競り負けたものの、女子1500メートルで3位に入った妹と力を合わせて同日に姉妹2人そろって表彰台に上った。五輪のプレ大会を兼ねて行われた世界最高峰の大会で「TAKAGI SISTERS」の名を世界にとどろかせた。

 ゴールまで残り6周。一斉にスタートした24人の集団の中から妹の美帆がスルスルと先頭に躍り出ると、その後ろに姉の菜那がぴったりとついた。全ては作戦通り。残り1周になっても状況は変わらず、英語で行われていた場内実況が思わず「TAKAGI SISTERS!」と絶叫。そして迎えた残り300メートルで姉が後ろから「外!」と合図を出すと妹がインコースを1人分空けた。すると今度は姉が先頭に立ち、最終コーナーへ。最後は韓国選手に抜かされたものの、1年後の五輪で新種目となるスリル満点のレースで0秒11差の銀メダルを獲得した。

 「本当は勝ちたかったけど最後は足がなかった。プレ大会で銀を獲れたのは来年の五輪に向けていいスタートが切れた」。妹はラスト200メートルで他の選手のクラッシュに巻き込まれて転倒して21位に終わったものの、マススタートに先駆けて行われた1500メートルで3位。前々日の団体追い抜きでも2人は日本を2位に導くなど、高木姉妹が存在感を存分にアピールした。

 レース後、妹は「本当は最後の200メートルで先頭を受け渡すはずだった」と悔やんだが、体力がなくなっていると察した姉が機転を利かせて早めに声を掛けるなど2人は“以心伝心”だ。今大会前も北海道帯広市での強化合宿の合間を縫って幕別町の自宅へ姉妹で帰宅。父・愛徳(よしのり)さん(59)は「洗濯をしたり、愛犬をかわいがったりしてました」と様子を明かすなど、2人そろってつかの間の実家生活で英気を養って韓国に入った。

 姉は言う。「美帆と一緒に合体して2人で並んでいい位置につくことができた。妹の力があってのこと。チーム2人でメダルを獲れた」。1年後。2人そろって五輪メダルを掲げた時、高木姉妹は世界的フィーバーを巻き起こすに違いない。

 ▽マススタート 15人以上が一斉にスタートする方式で男女ともリンクを16周する。順位は(1)ポイント(2)フィニッシュ順で決まる。4、8、12周後時に計算される3回の中間スプリントではそれぞれ1位5点、2位3点、3位1点を得る。最終スプリントでは1位60点、2位40点、3位20点。つまり最終周回を終えた上位3人に関してはそのまま最終順位となる。ショートトラックのように駆け引きや衝突が勝負を左右する場合もある。

続きを表示

この記事のフォト

2017年2月13日のニュース