北島康介氏「新しい試み」ローカル大会異例の8社協賛

[ 2017年2月10日 16:21 ]

<水泳東京都選手権>最優秀選手に選ばれた池江璃花子と渡辺一平(右から2人目)は北島康介氏と笑顔で並ぶ
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 1月末に東京辰巳国際水泳場で行われた競泳の東京都選手権は、男子200メートル平泳ぎで渡辺一平(早大)が世界新記録をマークし、大いに盛り上がった。同大会の主催は東京都水泳協会。東京出身のアテネ、北京五輪2大会連続平泳ぎ2冠の北島康介氏は同協会の理事を務めており、この大会には2年前から「KOSUKE KITAJIMA CUP」の冠がついている。渡辺の快挙の陰に隠れてあまり話題にはならなかったが、実は今回は昨年4月で現役引退した北島氏が裏方に回って本格的にプロデュースした最初の大会だった。

 国際大会や全国大会に見劣りしない、華やかな大会運営だった。決勝では選手たちはゲートからさっそうと入場した。レースの模様はネットテレビの「abemaTV」が生中継した。協賛社はフルキャスト、サマンサタバサ、日本コカ・コーラなどが名を連ね、ローカルの大会では異例の8社がついた。自らアイデアを出し、スポンサー探しに奔走した北島氏は「新しい試みを取り入れた。こういう大会があると知ってもらいたかった」と語った。

 中でもおもしろいと感じたのは大会終了後のスポンサーレースだ。北島氏は08年北京五輪メドレーリレー銅メダルメンバーの宮下純一氏、藤井拓郎氏、佐藤久佳氏とチームを結成し、スポンサーチームと対戦した。協賛各社に参加を募ったところ、どこの社も乗り気で、出場者を選抜し、練習して挑んだチームもあったという。結果は北島氏率いる北京五輪銅メダルチームがもちろん圧勝したが、参加した方々はみな真剣で楽しそうだった。

 生涯スポーツとして、水泳に取り組む社会人は多い。大きな会場で元五輪選手と一緒にレースできるとなれば、参加したい人も多いだろう。選手と一緒にラウンドできるゴルフのプロアマと同じ感覚で、選手と一緒に泳げるスポンサーレースをメリットに感じる協賛企業も出てくるかもしれない。スポンサーレースは現役時代にプロスイマーとしてスポンサー企業を大事にしてきた北島氏ならではの試みだったと思う。

 渡辺の世界記録樹立もあり「レベルの高い大会になって良かった」と総括した北島氏。大会プロデュース第1弾は大成功に終わった。今後も多くのスポンサーがついて、大会規模が大きくなれば、出場選手の意欲も高くなるだろう。将来的には賞金大会創設の夢も膨らむ。北島氏が今後、日本の大会をどう育てていくか、楽しみだ。(柳田 博)

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2017年2月10日のニュース