美帆“専門外”でも進化の自己新 10日の団体追い抜きに弾み

[ 2017年2月10日 05:30 ]

スピードスケート世界距離別選手権第1日 ( 2017年2月9日    韓国・江陵オーバル )

女子3000メートル 4分4秒50で8位だった高木美帆=江陵
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 来年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪のテスト大会を兼ねて韓国の平昌近郊、江陵に新設された屋内リンクで開幕した。女子3000メートルの高木美帆(22=日体大)は4分4秒50で8位入賞。タイムが出やすい高地の高速リンクで出した自己ベストを0秒84更新する進化の滑りで、優勝を狙う2日目の団体追い抜きへ弾みをつけた。佐藤綾乃(20=高崎健康福祉大)は4分8秒23で15位だった。

 ちょうど1年後に開幕する平昌五輪会場のこけら落とし。決して自らの専門とは言えない3000メートルで高木美が着実に進化している姿を見せた。号砲が鳴るなりスムーズに氷に乗り600メートルで全体5位。後半に入っても1周32秒台のラップを刻んで4分4秒50で8位に食い込んだ。昨季W杯第1戦(カルガリー)の高速リンクで出した自己ベストを1秒近くも更新した。

 「順位の点では悔しい」と決して満足はしていない。だがタイムが出にくい低地でしかも五輪本番で使用するリンクで記録を塗り替えたことに意味がある。「上位との差はあるけど縮めているという事実は自信を持って取り組んでいきたい」と来年の本番を見据えた。

 15歳で10年バンクーバー五輪に出場した“元スーパー中学生”だが、14年ソチ五輪は代表権を逃した。その翌シーズンも歴史の浅いマススタートなどを除けばW杯での出場はほぼ格下のBクラス。世界との距離は離れる一方だった。「調子が上がってきているのか、戻ってきているのか分からない」と当時は自分の状態すら理解できない状況だったが、それでも闘志の火は消えなかった。その理由は「悔しい思いは五輪で晴らす」という五輪経験者としての強い自負心があるから。夏場のトレーニングで体をいじめ抜き、遠征の際には自転車を持参するなどストイックに自らと向き合った。昨季W杯1000メートル以上の4種目で自己ベストを更新すると今季もW杯個人戦で2勝するなど成長。昨年末から連戦が続き体重が2キロ以上も落ち「食べても上がらない」と嘆くが、今大会最初の滑りで弾みをつけた。

 10日は2年ぶりの優勝を狙う団体追い抜き。「どう過ごしていくのかの道しるべ」と位置づける今大会で、中長距離のエースとなった22歳はさらなる進化を見せるつもりだ。

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