【黒岩敏幸の目】高木美のオールラウンドな才能に合った種目

[ 2017年2月9日 05:30 ]

マススタートでのメダルに期待がかかる高木(中央)
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 スピードスケートの従来の種目はタイムの速い人が勝つ。1500メートルよりも長い距離では速いラップ(1周ごとのタイム)をそろえることが重要視された。だが、マススタートはタイムではなく、16周して早くゴールした人が勝者だ。そこには駆け引きがあり、ダッシュしたり、休んだりを繰り返す。単純に長距離の速い選手が強いわけではない。

 中間スプリント(4、8、12周)のポイントは入賞を考えれば大事だが、表彰台には影響しない。疲労をためずに、ラスト1周のスプリント勝負に臨むことが大事になる。そして、そこでは絶対的なスピードが求められる。高木美は元々1500メートルを得意とし、3000メートルを滑れるスタミナがある。今季は1000メートルが好調でスピードも持っている。マススタートはオールラウンドな才能を持つ高木美に合った種目と言えるだろう。

 レースで重要なのは状況判断だ。ある1人の有力選手をマークしていたら、別の選手の仕掛けに対応できずに終わるようなこともある。その点、高木美は数年前からこの種目に取り組んでおり、経験豊富で対応力がある。また、姉・菜那ら、日本チームで位置取りなど作戦を立てて戦うこともできる。五輪でメダルのチャンスが十分ある種目だ。 (92年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダリスト)

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2017年2月9日のニュース