美帆 メダル射程!平昌五輪から採用の「マススタート」追い風に

[ 2017年2月9日 05:30 ]

公式練習でリラックスした表情の高木美帆=江陵
Photo By 共同

 2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪開幕まで、9日でちょうど1年となる。平昌から新たに採用されるのはスピードスケートの男女マススタート、スノーボードの男女ビッグエア、アルペン混合、カーリング混合の6種目。中でもマススタートは選手間の駆け引きや接触などのアクシデントが結果を左右するスリル満点の競技だ。五輪本番会場の韓国・江陵市で開幕する世界距離別選手権で同種目に出場する高木美帆(22=日体大)は、昨年大会に続く表彰台で1年後の夢舞台へ弾みをつける。

 今から1年前。ロシアで行われた世界距離別選手権のマススタートで高木美は3位に食い込み、表彰台に上った。翌月のW杯最終戦でも同じく3位。14年ソチ五輪でまさかのメダルなしに終わった日本チームにとって、それは18年平昌五輪に向けて大きな希望の一つとなった。

 それから1年。9日から始まる世界距離別選手権では最終日12日に2年連続の表彰台を懸けてマススタートに挑むことになる。大会開幕前日となった8日の練習後には五輪新種目について「今季は個人種目への思いが強かったのであまり出られてないが、しっかり経験を積むという意味でもやっていきたいです」と1年後を見据えた。

 16周(1周約400メートル)を15人以上で滑るマススタートは男子の土屋良輔(専大)が「毎年毎年勝つ展開が変わる。面白いレース」と話すように集団一斉スタートのために駆け引きや衝突などのアクシデントが大きく勝負を左右する。高木美は今季は本職の1000メートルや1500メートルに重きを置くスケジュールを組んだ。そのため、マススタートは11月のW杯第1戦と第2戦のみの出場で10位、12位。だが、スピードだけでなく、スタミナも備える選手だけに適性は十分。代表選考は来季になるが、五輪本番でも十分に期待できる存在だ。

 平昌五輪プレ大会となる今大会は五輪本番と同じ会場で決戦の火ぶたが切られる。出来たてほやほやのリンクを滑った感触について高木美は「氷の感覚は悪くない。滑りにくいという印象は受けなかった。きれいで滑りやすい」と早くも手応えをつかんだ様子だ。マススタートのほか、1000メートル、1500メートル、3000メートル、団体追い抜きと、日本代表最多の5種目に出場する中長距離界のエースは「やっとこの大会が始まる。この結果を踏まえて来年どうなるかが変わってくる」と意気込んだ。

 今季は各種目合わせ、W杯で8度も表彰台に上った成長著しい22歳。スーパー中学生と注目された10年バンクーバー大会以来の五輪リンクへ、人生を懸けた勝負の365日が始まった。

 ▽競技は 15人以上が一斉にスタートする方式で男女ともリンクを16周する。順位は(1)ポイント(2)フィニッシュ順で決まる。4、8、12周後時に計算される3回の中間スプリントではそれぞれ1位5点、2位3点、3位1点を得る。最終スプリントでは1位60点、2位40点、3位20点。つまり最終周回を終えた上位3人に関してはそのまま最終順位となる。ショートトラックのように駆け引きや衝突が勝負を左右する場合もある。妹・高木美と姉・高木菜那(日本電産サンキョー)の姉妹に加え、押切美沙紀(富士急)も有力。男子は土屋良輔(専大)やウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)に期待がかかる。

 ◆高木 美帆(たかぎ・みほ)1994年(平6)5月22日、北海道幕別町生まれの22歳。5歳でスケートを始める。7歳で始めたサッカーは幕別・札内中で男子に交じってFWでレギュラーだった。15歳の中学生で出場した10年バンクーバー五輪は1000メートル35位、1500メートル23位。14年ソチ五輪は不調で出場できなかった。帯広南商から日体大に進学。今季W杯は1000メートルで優勝1回、3位1回。1500メートルで優勝1回、3位1回。3000メートルで3位1回。団体追い抜きで優勝2回、2位1回。家族は両親と兄、姉。1メートル64。血液型O。

 ▼マススタート今季日本代表の主な成績 女子は高木美の姉・高木菜がW杯第3戦で2位となり、第4戦でも8位と1桁順位に入った。男子は土屋が第1戦で5位、第4戦で4位に食い込んでいる

続きを表示

この記事のフォト

2017年2月9日のニュース