“氷上のこじはる”導く夢切符1号 スマイルジャパン最終予選開幕

[ 2017年2月9日 05:30 ]

平昌五輪最終予選前の練習で、指示を聞くGK藤本那=白鳥王子アイスアリーナ
Photo By 共同

 “氷上のこじはる”が夢舞台に導く。アイスホッケー女子の18年平昌五輪最終予選は9日、北海道苫小牧市の白鳥王子アリーナで開幕。2大会連続五輪出場を目指す日本代表は8日、本番会場で1時間の最終調整を行った。AKB48の小嶋陽菜似のGK藤本那菜(27=ボルテックス札幌)は全3試合の完封に意欲。日本勢の平昌切符第1号へ、スマイルジャパンが突き進む。

 防具でがっちりガードされたプレー中は、その美貌は分かりづらいかもしれない。最終調整とクールダウンを終え“素顔”で取材に応じたGK藤本那は、りりしい表情で気合を入れた。「いよいよ最終予選だなという感じ。みんなの状態もいいし、早く試合がしたい。格別なプレーをするんじゃなくて、いつも通りのプレーができればいい」。AKBの小嶋陽菜似の27歳が、スマイルジャパンのゴールを守る。

 今予選で2位以下なら平昌切符は消滅。ただ、出場する4カ国中、日本は世界ランクで最上位の7位。チーム全員が「いつも通り」のプレーをすれば、五輪に手が届く。藤本那が最重要視するのが、9日のオーストリアとの初戦だ。「スタートが鍵かなと思う。いい流れがつかめれば、そのまま最終戦まで行ける」。得点に直結するプレーでなく、失点を防いでチームに貢献する。「無失点が目標。どの試合でもそう思ってやっています」と力を込めた。

 3年前のソチ五輪最終予選はレギュラーではなかったが、五輪本番は正GKとして全5試合に先発出場。15年の世界選手権ではセーブ率93・75%をマークし、日本人では初めてベストGKに選出された。15〜16年は北米プロリーグNWHLでプレー。「いろんな経験ができた。スケーティング技術、ゴール前のスキルや対応力が伸びた」。自信を持って最終予選のリンクに立つ。

 9日で平昌五輪開幕まで1年。「え〜、そうなんですか!?」と驚いた藤本那は、「(前回予選からの)4年も長いと思ったけど、あっという間。1年もあっという間なんだろうな」と続けた。今予選で1位なら、4年前のソチと同様に日本勢の夢切符第1号になる。「五輪出場の切符を最初に手にできるのはうれしいこと。他の日本チームに勢いがつけばいいな」。美しく頼れる守護神が、好セーブで平昌ロードを切り開く。

 ◆藤本 那菜(ふじもと・なな)1989年(平元)3月3日、北海道札幌市出身の27歳。6歳でアイスホッケーを始め、07年に初めて日本代表に選出。10年バンクーバー五輪予選後に学業を優先して代表を離れたが、12年に復帰。14年ソチ五輪では正GKを務め、15〜16年は北米プロリーグNWHLにも参戦。ボルテックス札幌所属。1メートル63、56キロ。

 ▽14年ソチ五輪最終予選 ノルウェーとの初戦を逆転勝ち。スロバキア戦は延長、ゲームウイニングショットの末に敗れたが、デンマークとの最終戦を制し、98年長野以来となる五輪切符を獲得した

 ▼平昌五輪のアイスホッケー 女子は8カ国が出場。既に世界ランク上位の米国、カナダ、フィンランド、ロシア、スウェーデンと開催国の韓国の出場が決定。9〜12日に最終予選が行われ、苫小牧とスイスで4カ国ずつが参加。それぞれの1位の国が出場権を獲得する。男子は12カ国の出場チームが決まっており、日本は出場を逃した。

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