「シックス・ネーションズ」ジョーンズHC率いるイングランドが連覇目指す

[ 2017年2月3日 22:50 ]

昨年、イングランド代表を昨年全勝優勝へと導いたエディー・ジョーンズHC(左)(C)ゲッティイメージズ
Photo By ゲッティ イメージズ

 今月4日にラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」が開幕する。イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランス、イタリアが総当たりで対戦し、優勝を争う。優勝候補筆頭は昨年グランドスラム(全勝優勝)を果たしたエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)率いるイングランドだ。2年連続でグランドスラムを達成するか注目が集まっている。

 “ラグビーの母国”イングランドは2015年、自国開催のワールドカップ(W杯)で、史上初めてホスト国ながら予選プール敗退という屈辱を味わった。失意から立ち上がるために、白羽の矢が立ったのが初の外国人指揮官となったジョーンズ前日本代表HC。W杯での実績が評価されての就任だった。

 16年の冒頭、ジョーンズHCは「目標は19年W杯での優勝」を明言しチームづくりに着手。キャプテンに悪童と知られるHOディラン・ハートリーを指名したことは国内外で驚きの声が上がった。ハートリーは何度も出場停止になるなど問題が多く、W杯にも出場できなかったが、ジョーンズHCは「間違いは誰にでもある」と意に介さずキャプテンに任命した。

 ハートリーは誰にでも率直に接することができ、チームの空気を入れ替えるのに適していた。豪州出身のジョーンズHC同様、イングランド国外(ニュージーランド)出身で、コミュニケーションが取りやすかった点も大きかったようだ。

 さらに指揮官はNo・8ビリー・ヴニポラ、CTBオーウェン・ファレル、FBマイク・ブラウンの3人を副将に指名、彼らの成長を促した。ジョーンズHCは昨年のシックス・ネーションズでメンバーの約3分の2をW杯メンバーから選出し、ハートリーを中心としたリーダー陣を形成、チームの再建を図った。

 続いてジョーンズHCは前キャプテンのFLクリス・ロブショウを、オープンサイドFLから、ブラインドサイドFLに変えプレーに専念させる。また、ライバルだったジョージ・フォードとファレルという2人のSOを競わせるのではなく、ファレルを12番に置いて「ダブル司令塔」として共存させた。

 ジョーンズHCは才能のある選手たちを上手くコントロールし、昨年のシックス・ネーションズでは、初戦のスコットランド戦に勝利すると勢いに乗り全勝優勝。優勝も5年ぶりだが、グランドスラムは2003年以来となる快挙だった。

 誇りを取り戻したイングランドは、6月に豪州代表にアウェーで3連勝、秋には10年間未勝利だった南アフリカから白星を挙げるなど16年は無敗。13連勝で駆け抜け世界ランキングは2位に上昇した。

 指揮官の存在、チームの成熟度合い、3試合ホームで戦えることを考慮すると今年もイングランドが優勝に最も近い位置にいることは変わらない。2月4日にホームで行われる初戦のフランス戦で勝利し勢いに乗りたいところだ。

 最大のライバルはアイルランドだろう。14、15年には優勝したが、昨年はベテラン選手が抜けたこともあり、2勝1分2敗の3位。ただ、秋には世界ランキング1位のニュージーランドに初勝利。3月18日の最終戦はホームでイングランド戦を迎えるだけに、その試合まで全勝で行きたい。

 この2チームの後を追うのがウェールズとフランスか。12、13年王者のウェールズは昨年3勝1分1敗で2位。秋は南アフリカに勝つなど3勝1敗と好成績を残している。フランスは昨年から元トゥールーズのギー・ノヴェスHCが指揮を取っている。昨年は若手を起用し2勝3敗の5位に終わった。それでも秋のテストマッチではニュージーランドとオーストラリアに善戦するなど地力はつけてきた。初戦のイングランド戦次第では優勝も見えてくるかもしれない。

 イングランドが昨年の勢いのまま2連覇、そして全勝優勝を果たすのか。それともエディー・イングランドに初めて黒星をつけて優勝を奪うチームが現れるのか。今年の欧州最強国決定戦はイングランドを軸に、大いに盛り上がりを見せるはずだ。17年シックス・ネーションズ(WOWOWで全15試合生中継)は、間もなく開幕する。

続きを表示

2017年2月3日のニュース