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大阪国際女子マラソンでの「ネガティブスプリット」をどう評価すべきか

大阪国際女子マラソンで優勝した重友梨佐
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 【藤山健二の独立独歩】先日行われた大阪国際女子マラソンで、重友梨佐(天満屋)が2時間24分22秒で優勝した。12年のロンドン五輪では79位と惨敗。その後も故障続きで苦しんだだけに、5年かけて果たした復活優勝は大いに評価されていい。だが、世界に目を向ければ、29歳のベテランを追い抜くような生きのいい若手に出てきてほしかったというのが、関係者の本音だろう。

 今回のレースに当たって日本陸連は長年の強化方針を転換。「後半にペースアップできる選手の育成」を掲げ、前半よりも後半の方が速い「ネガティブスプリット」を選手たちに求めた。重友の場合、前半は1時間12分10秒で後半が1時間12分12秒。後半の方がわずか2秒遅いだけなので、ほぼ「ネガティブスプリット」を達成したと言っていい。

 問題は後半ではなく、前半の走りだ。陸連が用意したペースメーカーは本来なら5キロを17分5〜10秒で刻み、ハーフ(21・0975キロ)を1時間12分0〜30秒で通過する予定だった。ところがこのペースメーカーがむちゃくちゃで、設定タイムを守ったのは10キロまでで、12キロ過ぎから突然スピードを上げた。その後も極端なペースの上げ下げが続き、結局ついて行けた日本選手は3人だけ。重友ら他の選手は早々と脱落してしまった。

 昨夏のリオデジャネイロ五輪もそうだったが、最近の五輪や世界選手権はペースメーカーがつかないため、前半は比較的スローペースになることが多い。その代わり先頭集団のペースの上げ下げが激しく、日本勢は後半の勝負どころを迎える前に前半で心身ともに消耗してしまい、あっけなく脱落している。結果的に今回のペースメーカーは本番さながらのレースを再現してくれたことになり、選手たちの順応力が問われたが、残念ながら世界水準の走りができた選手はいなかった。

 ペースの上げ下げに耐えて先頭集団内をキープし、その上で後半にさらにペースアップできるようにならないと世界と対等には戦えない。今回の重友のように前半に一度でも脱落すれば勝機はない。もちろん、そんなことは陸連も百も承知だが、今の日本選手のレベルでそこまで要求するのは無理と判断して、今回はまず「ネガティブスプリット」を意識させることに注力したということなのだろう。その意味では今回のレースは成功だったと言っていいのかもしれない。

 「ネガティブスプリット」のためには練習内容からすべて見直す必要がある。しばらくは試行錯誤が続くだろうが、少なくとも今までのやり方ではダメだったのだからチャレンジしてみる価値はある。東京五輪まであと3年。選手たちの頑張りに期待したい。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

[ 2017年2月3日 08:30 ]

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