稀勢父「綱息子」に辛口注文 母心は複雑「大関のままずっと…」

[ 2017年1月26日 05:53 ]

稀勢の里 横綱昇進伝達式 ( 2017年1月25日 )

<稀勢の里 横綱昇進伝達式>タイを持ち上げる稀勢の里(前列中央)(前列左は田子ノ浦親方夫人の琴美さん、同右は田子ノ浦親方、後列右から3人目は父・萩原貞彦さん、同中央は母・裕美子さん)
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 伝達式には稀勢の里の両親の父・萩原貞彦さんと母・裕美子さんも出席。口上を述べた我が子を万感の思いで見つめた。今後のさらなる精進を期待し、厳しい言葉も口にした貞彦さんに対し、裕美子さんは稀勢の里の両親への感謝の言葉に感激の涙を流した。

 名門・帝国ホテルの会場に準備された椅子に腰掛けて、両親は緊張の面持ちで伝達式に臨む稀勢の里の様子をじっと見つめていた。ありのままを詰め込んだ短い口上を聞いた父・萩原貞彦さんは「あまりにシンプルだね。大関の時と同じ。大関という言葉が横綱になっただけ。頭の中もシンプルですから」と頬を緩めた。

 父は相撲の経験こそないものの、かつて本格的にボクシングに取り組んだ格闘家。相撲が駄目だった場合はヘビー級のプロボクサーに育てるため米国に留学させる大胆構想を描いたこともある。「立派な体で健全な心を持った青年に育てるのは親の責任」と語り、砂糖を含んだ清涼飲料水やスナック菓子は一切与えてこなかったという。初場所千秋楽で横綱の父になることを聞かれた際は自らのことを「ケンカっ早いからね。気をつけないと」とおどけるほど鼻っ柱は強く、勝負師の血が流れる息子にはたびたび相撲のアドバイスを送ってきた。そんな中、最高位となった稀勢の里に早速、注文を付けた。

 「ちょっと太りすぎ。もう少し痩せて反応のいい体にしないと」。現在、稀勢の里の体重は176キロ。「今のままだと(初場所を)休場した日馬富士に勝てないと思う」と5キロの減量を求めた。さらに、将来の理想の姿を聞かれると「強い前に人格者になってもらいたい。好きな相撲を取るだけじゃないから、協会を代表して、ひいては日本国民を代表してやらないといけない」と続けた。気になる息子の“嫁取り”については「引退してからだと思います」と予想したが、理想の花嫁候補については「3歩下がって…」と夫を立てる女性を希望した。

 一方、母・裕美子さんは「頑丈な体をつくってくれてうれしい」という稀勢の里のひと言に「親冥利(みょうり)に尽きます」と涙を流した。「母親の気持ちとしては大関のままずっとテレビに映っていてほしい」と角界を背負うことになる今後への心配を口にしながらも、頼もしい息子の姿に目を細めていた。

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2017年1月26日のニュース