稀勢の里“平常心”1敗死守 今場所最長27秒7慌てず「集中」

[ 2017年1月20日 05:30 ]

大相撲初場所12日目 ( 2017年1月19日    両国国技館 )

勢を寄り切り、単独トップを死守した稀勢の里
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 大関・稀勢の里が単独トップを死守した。過去の対戦成績が13戦全勝だった平幕・勢に粘られて長い相撲となったが、慌てることなく右上手を取ってから寄り切り。1敗を守って悲願の初優勝に前進した。平幕の蒼国来が3敗に後退し、2敗は横綱・白鵬、平幕の貴ノ岩、逸ノ城の3人となった。

 今場所の稀勢の里は実に淡々としている。立ち合い直前でも顔が紅潮することがなく、支度部屋の風呂から上がっても表情は変わらない。この日は今場所の自身の取組では最も長い27秒7を要したが「落ち着いていた?そうですね。集中していけました」と最後まで平常心を保っていた。

 過去13戦負けなしの勢戦。左差しから一気に出られて右足が俵にかかった。それを残すと直後の小手投げもこらえた。体が離れると突き押しから十分の左四つに持ち込み、腰は高かったが右上手を引くと胸を合わせて寄り切った。土俵下で審判長を務めた二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「バタバタしたけど、そんなにひやひやする相撲じゃなかった。慌てていなかった」と捉えていた。攻め込まれた場面も「余裕があったからね」と話した。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「稀勢の里はあと3日。初優勝というものは難しく、ここからが苦しい時期でもある」とみている。その言葉通り、稀勢の里は優勝争いの残り3日間でことごとく失速してきた。12日目終了時点でトップだったのは今回で5度目だが、過去4回で3日のうち2勝できたのは1回だけ。残り3回は2敗している。だが、今回は2横綱が休場しており、横綱との対戦は千秋楽の白鵬だけ。13日目に対戦する豪栄道は出場が微妙な状況で、14日目は平幕との対戦。これまでにない“追い風”が吹いている。ものにできるかどうかは、自分自身にかかっている。

 支度部屋ではこの日も「今日は今日、明日は明日。しっかりやります」という言葉を繰り返した。優勝に準ずる成績は12回も記録している。もう同じ轍(てつ)は踏めない。

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2017年1月20日のニュース