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青学式「劇薬」は男子マラソン界の「特効薬」となるか

箱根駅伝8区で快走する青学大の下田
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 【藤山健二の独立独歩】今年も箱根駅伝は青学大の圧勝に終わった。往路、復路とも他校の追随を許さず、3年連続で箱根路を制圧。出雲、全日本と合わせた大学駅伝3冠も達成し、まさに向かうところ敵なしの勢いだ。そうは言っても…と少し思ったが、レース後の原晋監督のインタビューを聞いて安心した。今後の目標について聞かれた原監督が「箱根駅伝の舞台だけではなく、これからは青山学院軍団の中から3年後の東京五輪を目指せるようなランナーの育成を考えていきたい」と力強く宣言してくれたからだ。

 学生にとって箱根駅伝は文字通り夢舞台で、誰もがただ箱根を走りたい一心で4年間精進する。チームが勝つために山上り、山下りのスペシャリストを養成し、選手は1区間20キロ前後の箱根駅伝に特化した練習に専念する。それがマラソンの弱体化を招いたという批判は今でもよく耳にするが、別にすべての学生ランナーが世界を目指す必要はないし、箱根がすべてという選手がいても不思議はない。どこに目標を置くかは選手の自由であり、誰も批判はできない。だが、少なくとも指導者には箱根よりももっと世界に目を向けてほしいとずっと思っていたので、原監督の言葉を聞いて思わず手を叩いてしまった。

 日本ではかつて「学生時代はトラックを中心にスピードを強化し、それから徐々に距離を伸ばして本格的にマラソンに取り組むのは20代の後半になってからでいい」と考える人が多かった。それからすれば原監督がやっていることは邪道だ。8区で区間賞の快走を見せた3年生の下田裕太は昨年2月の東京で初マラソンに挑戦。20代後半どころか、2時間11分34秒の10代日本最高をマークした。今年も再び東京を走る予定で、3年連続で花の2区を走った一色恭志も3月のびわ湖毎日マラソンで8月の世界選手権(ロンドン)代表を目指す。2人とも「絶対に東京五輪にマラソン代表で出る」と言い切っており、年齢的に一番脂が乗るであろう「東京の次」に照準を合わせる気はさらさらない。

 原監督は自らを「劇薬」と称した。「日本の男子マラソン界を変えるためには私のような劇薬が必要です」と。今の男子マラソンの現状を見れば、少なくとも従来のやり方ではダメなことは明白で、原式強化法への期待は大きい。日本陸連の長距離・マラソン強化戦略プロジェクトのリーダーに就任した瀬古利彦氏は、昭和の時代に戻ったような猛練習復活を提言している。そこに「劇薬」を加えれば、もしかしたら素晴らしい「特効薬」になるかもしれない。今年の箱根駅伝は、新年早々、そんな大きな初夢を見させてくれた。(編集委員)

 ◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。

[ 2017年1月10日 09:30 ]

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