早大・安井 悔し涙を力に…「人類最強」の山上りで打倒・青学

[ 2016年12月30日 09:00 ]

早稲田ポーズを決める安井
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【箱根に駆ける・3】 遠ざかる青学大の背中、そして切れなかったゴールテープ。早大の安井雄一(3年)には、11月の全日本大学駅伝の悔しさが深い傷となって刻まれている。

 3区から青学大を抑えてトップに立った早大の最終走者が安井だった。青学大の一色恭志(4年)に49秒差でたすきを受けたが、6キロ付近で早々と追い抜かれ、最後は56秒差をつけられた。相手は現在の学生最強ランナー。安井ひとりの責任ではないが、レース後は悔し涙が止まらなかった。相良豊監督に「おまえは箱根で何をしたい?」と聞かれた安井は「自分の強みである山で、1位のゴールテープを切りたい」と往路最終区間の山上りを直訴した。

 5区に初挑戦した前回は1時間21分16秒で区間5位と力走し、山への適性を示した。この一年は1〜3区を担いたいと練習に励んできたが「陸上人生で一番悔しい大会」という全日本を経て考えが変わった。自室の壁には箱根に向けてA4の紙に書いた目標を貼りたくった。「往路優勝」「青学ぶっ潰(つぶ)す!」「殻を破れ」「70分」。携帯電話の待ち受け画面は、一色が胴上げされている画像に変えた。

 上りに特化したフィジカルトレーニングも積み、昨年以上の走りができる手応えも感じている。「今井さん、柏原さん、神野さんの3人は別格」と目指すは“山の神”ではない。早大の駒野亮太コーチが08年に5区で区間賞を獲得しており、“神”に迫るような1時間18分12秒(当時は23・4キロ)を残した。「僕の中では駒野さんが山の神の一歩手前。神にはなれないが、人類最強は目指したい」。そんな走りができれば安井の前にゴールテープが近づいてくる。 (雨宮 圭吾)

 ◆安井 雄一(やすい・ゆういち)1995年(平7)5月19日、千葉県松戸市生まれの21歳。市船橋から早大に進み、箱根駅伝は1年で8区、2年で5区。2月には東京マラソンで初マラソンに挑戦。自己ベストは5000メートルが14分9秒39、1万メートルが29分7秒01。1メートル70、56キロ。好物はメロンパン。

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