茗渓劇場!ケニア仕込みの快足・加藤ドタバタ3T花園デビュー

[ 2016年12月29日 05:30 ]

第96回全国高校ラグビー第2日   茗渓学園20―17大分舞鶴 ( 2016年12月28日    東大阪市・花園ラグビー場 )

大分舞鶴―茗渓学園 後半24分、茗渓学園・加藤が決勝のトライを決める
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 1回戦11試合が行われ、茗渓学園(茨城)は大分舞鶴(大分)に20―17で競り勝ち、2回戦に駒を進めた。取っては取られの展開の中、WTB加藤樹大(じゅだい=2年)が逆転、逆転、決勝トライとチーム全3トライを奪う活躍。一方で相手のトライに直結するノックオンも犯すなど、快足ヒーローがドタバタの花園デビューを飾った。また、仙台育英(宮城)は若狭東(福井)を54―10で破り、2回戦に進出した。

 試合後のストレッチ中、FW陣から声が上がった。「加藤は良いところを持って行って、FWを困らせるノックオンをするよな」。失笑が漏れる中、加藤1人だけ再び冷や汗をかいた。

 後半12分だった。2度目の逆転トライを奪った直後の再開キックオフで加藤はまさかのノックオン。ゴールまで10メートルと相手にとっては絶好の位置でのスクラムからボールを回され、あっという間に再逆転のトライを許した。ただ、ラグビーの神様は再びチャンスをくれた。後半24分、右中間10メートルのラックから左展開。CTB日高主将からのフラットパスを受けると、迷うことなく外勝負を選んだ。小細工せず対面の外へ走ってスピードで振り切る。インゴール手前で一度は倒されたが、執念でタッチダウンし三たび逆転の決勝トライ。花園に新たなスター候補生が誕生した瞬間だった。

 「ノックオンは次のプレーのことを考えていて、キャッチに集中できてませんでした。ただ、3トライ自体は自信になる。少ないチャンスを生かすことができた」

 冗談交じりで「3トライ取ったけど、1本あげているからね」と話した高橋健監督は「決定力がついた。2年生だし、まだまだ伸び盛りです」と高評価を与えた。足の速さには定評があったが、1年の頃は内側にステップを切ることが多かった。昨年の花園で出番のなかった自らの殻を破ろうと「ステップを切らず外で勝負するようになった」(加藤)。今月初旬には将来の7人制日本代表を養成する日本協会主催のユースアカデミーにも参加。50メートル測定で6秒18を叩き出し、自信を持って聖地に乗り込んだ。

 元々サッカーに取り組んでいたが、親の仕事の関係で小6〜中2時代を過ごしたケニアでラグビーを始めた。まだまだ粗削りだが、野性味あふれるランで再び花園の視線を独り占めする。(阿部 令)

 ◆加藤 樹大(かとう・じゅだい)2000年(平12)3月8日生まれ、埼玉県出身の16歳。小学校時代からサッカーに取り組み、小学6年から過ごしたケニアでラグビーを始める。中学2年で帰国後、茗渓学園中に編入し、15年4月に茗渓学園に入学。目標とする選手はニュージーランド代表のコンラッド・スミス。1メートル78、72キロ。チーム内でのニックネームは「VIP」。

 ▼茗渓学園の昨年度初戦 1回戦で関西学院(兵庫)と対戦し、7―18で敗戦。相手の粘り強いディフェンスに手を焼き、前半はノースコア。後半に1トライ1ゴールを返したが、及ばなかった

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