高鍋 急逝マネにささぐ完勝「天国に届くよう心ひとつに」

[ 2016年12月28日 05:30 ]

第96回全国高校ラグビー第1日   高鍋69―5旭川工 ( 2016年12月27日    東大阪市・花園ラグビー場 )

<高鍋・旭川工>後半、力強い走りで密集を抜け出す高鍋・横尾
Photo By スポニチ

 11トライの圧勝。高鍋には絶対に負けられない理由があった。

 「天国にいる竜哉のところに高鍋の校名が届くように選手全員が心をひとつにした」

 主将の木之下はそう振り返った。1年生マネジャーの森竜哉さんが花園出場決定後に他界した。森さんは高鍋西中時代は、1メートル80近い長身のLOとしてラインアウトが得意な選手だった。だが、内臓疾患のために体調を壊し、昨年末には「余命半年」という厳しい診断が下されていた。それでも愛してやまないラグビーのため、高鍋にはマネジャーとして入部。遠征試合ではビデオ係を務め、11月13日の宮崎県代表決定戦にも車いすで駆けつけ声援を送っていた。しかし、チームの花園行きを見届けるように今月1日、帰らぬ人となった。

 大会前の全体ミーティング。木之下は「竜哉はラグビーをやりたくてもできなかった。俺たちはラグビーができる。その幸せをかみしめて戦おう」と部員に訴えかけた。檜室秀幸監督も「名前は(口に)出さないが、全国で結果を出そうと伝わってきた。選手たちの森くんを思う気持ちが、この点差になって表れたと思う」と話したように、フィフティーンは供養の白星をささげるため一致団結した。

 前半5分に先制トライを挙げた島田が「絶対に決めてやると思っていた。竜哉のお葬式で心の中で誓った約束だったから」と力を込めれば、木之下主将も「花園に立たせてあげようとやってきた。次も勝って、笑って迎えてくれる試合をしたい」と話した。

 チームの目標は4強入り。2回戦の相手はBシードの京都成章。手ごわい相手だが、天国の友のためにもまだ負けるわけにはいかない。

続きを表示

2016年12月28日のニュース