“空手界のきゃりぱみゅ”植草歩が涙の連覇!会心の右中段突き

[ 2016年12月12日 05:34 ]

空手 全日本選手権 ( 2016年12月11日    東京・日本武道館 )

<全日本空手道選手権 表彰>メダルを手に笑顔の植草。涙が頬に残る
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 “空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”こと植草歩(24=高栄警備保障)が涙の優勝を果たした。東京五輪の追加種目に決まり、天皇陛下も観戦された中、女子組手個人戦決勝で山田沙羅(22=大正大)を得意の中段突きで下し、大会2連覇を飾った。男子組手個人戦は荒賀龍太郎(24=荒賀道場)が3連覇、男子形個人戦は喜友名諒(26=劉衛流龍鳳会)が5連覇、女子形個人戦は清水希容(23=ミキハウス)が4連覇を達成した。

 狙いは一点。何千、何万発も打ち込んできた的だった。順当に勝ち進み、迎えた山田との決勝。植草は「ファーストポイントを大事にする」と臨んだ大一番で、一発必中の右中段突きをさく裂させた。「自信があるのは中段突き。自分の最大限をあそこに懸けた」。重心を落とし“きゃりー会心の一撃”を腹に突き刺すと、有効の旗が上がり1点を奪取。そのままリードを守って2連覇を果たすと、1万1000人の前で号泣した。

 顔が似ていることから「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」と注目を集める看板娘。脚光を浴びる中で、10月の世界選手権女子68キロ超級を制して自信を深めたが、連覇を狙った今大会は「チャンピオンという重圧が、本当に苦しかった」という。初戦から体が思うように動かない。それでも仲間から「植ちゃんなら調子悪くても勝てる」と励まされ力に変えた。最後は高校時代から磨き続け「いざという時」に繰り出す「中段突き」で勝負を決めた。

 昨年、回転寿司で30皿を積み上げた大食い娘だ。好物は「焼き肉と寿司」だが、他競技の選手と交流し、栄養管理の意識の違いを痛感した。「空手は頑張っているけど、それ以外は未熟」。栄養士と契約し「揚げ物」を断った。前日は同じ千葉県のチームで食事に出掛けたが、ステーキとケーキを頬張る仲間の横で、カロリー控えめの「豚しゃぶ、とろろ丼、茶わん蒸し」を口にして「パフォーマンスの力が上がった」と笑った。

 天覧試合で最高の結果を残し「自分のいいところ、空手の面白さを見せられてよかった」と涙を拭いた。東京五輪まで今日で残り1320日。「心の成長が見えたかな。この大会でグレードアップして、勝ち続けられる強い選手になりたい」。一撃必殺の武器とともに植草が東京ロードを突き進む。

 ◆植草 歩(うえくさ・あゆみ)1992年(平4)7月25日、千葉県八街市生まれの24歳。柏日体高―帝京大。小3で空手を始める。中学時代は陸上部に所属。13年ワールドゲームス金メダル。所属先の高栄警備保障では、社長秘書として午前7時から10時まで勤務。1メートル68、66キロ。家族は両親と姉。

 ▽組手ルール 試合時間は男子3分、女子2分で行われ、1本3点(上段蹴り)、技あり2点(中段蹴り)、有効1点(中段、上段突き)。8点差をつけるか、終了時に得点の多い方が勝ち。同点は判定で主審・副審5人の多数決で行う。攻撃部位は頭部、顔面、頸部(けいぶ)、腹部、胸部、背部、脇腹。

 ▽東京五輪空手 競技は個人形の男女、個人組手3階級の男女8種目。出場選手は各種目10人を予定。世界連盟(WKF)主催大会は組手は男女とも5階級に分かれているため、東京五輪での階級分け、選手選考基準は来年のWKF会議で方向性が決まる予定。

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