錦織4強いける!3時間20分死闘黒星も世界1位マリーに肉薄

[ 2016年11月18日 05:30 ]

男子テニスATPツアー・ファイナル シングルス1次リーグA組 ( 2016年11月16日    ロンドン・O2アリーナ )

健闘を称え合いマリーと握手する錦織(AP)

 1次リーグA組で、世界ランキング5位の錦織圭(26=日清食品)は、同1位のアンディ・マリー(29=英国)に7―6、4―6、4―6で敗れた。大会史上最長(記録の残る91年以降)となる3時間20分のマラソンマッチ。世界1位に肉薄したが、わずかに及ばなかった。A・マリーは2連勝で、錦織は1勝1敗。2年ぶりの準決勝進出を懸け、18日(日本時間19日午前5時)にはマリン・チリッチ(28=クロアチア)と対戦する。

 戦い敗れた錦織は疲れ果てた様子で言った。「試合に負けて、いい気はしない」「負けは負け。いくら攻めても負ければ意味はなくなる」。米大統領選と同じく「ウイナー・テーク・オール(勝者総取り)」はスポーツにもあてはまる哲学。それでもなお、敗者も称賛に値する試合だった。

 知力、体力、技術の限りを尽くした激しいラリー戦が展開された。1時間25分を要した第1セットは錦織に軍配。相手の3本のセットポイントをしのぎ、自らは5本目のセットポイントで仕留めた。もつれにもつれたタイブレークは11―9だった。

 しかし、勢いに乗るべき第2セットの第1ゲームで許したブレークが誤算だった。「(タイブレークで)集中力を使って多少放心状態だった。あそこで耐えていれば展開が変わったかもしれない」。第8ゲームで4―4と追いついたものの、直後に再びブレークを許した。徐々にA・マリーの凡ミスは減り、サーブによるポイントも増えた。対照的に錦織は消耗の色を濃くしていった。

 第3セットは1―5から4―5まで追いすがるも及ばなかった。結局、第2セット以降は一度もリードを奪えなかった。「最終セットも彼はレベルが落ちない。メンタルや大事なポイントの集中力、駆け引きがまだ少し彼の方が上」と錦織は世界1位との差を語った。

 だが、得るものはあった。「ポイントを取れるパターンは前よりも明確になっている。どんどん近づいていると感じる」。序盤はA・マリー寄りだった英国の観客から送られた拍手と声援も、錦織に対する評価の表れだろう。次戦のチリッチには先月のスイス室内決勝で敗れているが、勝ち進めばA・マリーと決勝での再戦もあり得る。マラソンのゴールはまだ先。戦いはまだ終わったわけではない。

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