白鵬1000勝!史上3人目 最速16年目31歳到達「最高です」

[ 2016年11月16日 05:30 ]

大相撲九州場所3日目 ( 2016年11月15日    福岡国際センター )

<九州場所3日目>白鵬はうわてなげで魁聖を破る

 横綱・白鵬が結びで魁聖を豪快な左上手投げで下して3連勝とし、史上3人目の通算1000勝を果たした。31歳での達成は千代の富士の34歳、魁皇の37歳を大幅に上回る若さ。年間最多の86勝を2度マークするなど強さを誇り、初土俵から16年目でのスピード到達だった。右足親指や左膝などを痛めて先場所を全休するなど達成直前で足踏みしたが、家族の絆を心の支えにしてついに節目の白星をつかみ取った。

 豪快な上手投げで白鵬が魁聖を転がした瞬間、会場は祝福ムードに包まれた。取組中は気迫十分の顔だった横綱が、花道を歩き始めると表情を一変。知人から次々と花束を手渡されると笑顔がはじけ、会場の通路で待ち構えていた長女・愛美羽(あみう)ちゃん(9)と長男・真羽人(まはと)くん(8)から祝福を受けた。支度部屋に戻っても付け人衆から「祝!1000勝」と刺しゅうされたステテコを贈られた。まさか、こんなに祝われるとは想像していなかった。

 「最高です。優勝したような気持ち。いろいろケガもあって乗り越えて達成できたのは、ひと味もふた味も違う」

 本来は残り13勝で迎えた先々場所で達成するはずだったが、9日目の勢戦で右足親指を痛め計画が狂った。その場所は10勝止まりで残り3勝となり、さらには夏巡業で患部を悪化させ先場所は全休。9月に踏み切った右足親指と左膝の手術も当初1時間で終わるはずが2時間半もかかり「思っているより大変なものだった」と振り返った。

 そんな逆境を家族の絆が救ってくれた。手術室から出てくる横綱の姿を見て、紗代子夫人と3人の子供は思わず涙を流した。負けた時には父親にダメ出しするほど成長した子供たち。そのストレートな意見が逆に面白く、その笑顔を見るたびに力の源になっていた。そんな子供たちと自らを常に陰から支えてくれる妻が本気で心配している姿を見てもう一度、相撲と向き合うことを決意。「心も体も全部きれいにしたかった」と3日間断食を敢行したり、マウスピースを初めて発注するなど新しい試みを次々と取り入れ、試練を乗り越えた。

 次に狙うは千代の富士の1045勝、魁皇の1047勝と思いきや「1001勝です」。それは7月に死去した先代九重親方の千代の富士も1000勝達成時に述べたセリフだ。「(6年前に九重親方の)53連勝を超えた時“これからだ”と言われた。(今回の1000勝について)言葉を聞いてみたかった」。大鵬、北の湖、千代の富士と昭和を代表する大横綱が次々とこの世を去り、厳しい言葉を投げ掛けてくれる存在は少ない。信じるのは愛する家族と自らの可能性。それがある限り、白鵬は目の前の一番に挑み続ける。

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