【岡崎真の目】羽生 ポイント外すとジャンプ大失敗に

[ 2016年10月30日 07:35 ]

フィギュアスケート グランプリシリーズ第2戦スケートカナダ第1日 ( 2016年10月28日    カナダ・ミシソーガ )

SPで4回転ジャンプに挑むもミス、4位発進の羽生(AP)
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 以前も指摘したが、ループというジャンプは踏み切りと着氷の足が同じで、フリーレッグ(氷についていない足)をほとんど使えないという独特の難しさがある。4回転ともなれば高さと飛距離を稼ぐ必要があるが、前述の理由で重心移動が少なく、パワーを生み出すことが難しい。羽生の場合、滑走の軌道と空中の軌道を踏み切り時に少しずらすことによって反動を生みパワーを得ているが、ポイントを少しでも外すと今回のような大失敗につながるのだろう。

 リズムを崩し、続く4回転サルコー―3回転トーループの連続ジャンプが3回転サルコーの単発になり、以前の羽生なら大崩れの可能性もあった。だが、ここから気持ちを切り替え、得意のトリプルアクセル以降はほぼ完璧な内容に立て直したのは、見事というほかない。五輪王者のプライドを見た気がする。

 故障による出遅れが心配されただけに、例えば2発目の4回転をサルコーではなく得意のトーループにするという選択肢もあるはずだが、逃げずに基礎点の高いものを選んでいることは好感が持てる。4位発進とはいえ、決して悲観する内容ではないと思う。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2016年10月30日のニュース