中垣内氏「挑戦する以上はメダルを」 来春から代表監督就任

[ 2016年10月27日 05:30 ]

<全日本男女バレーボール新監督就任会見>フォトセッションを行う中垣内祐一・男子監督(左)と中田久美・女子監督
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 バレーボールの日本代表監督に就任することが決まった男子の中垣内祐一氏(48)と女子の中田久美氏(51)が26日、都内で記者会見した。中垣内氏は約3年間のサラリーマン生活を経て指導者に復帰。90年代の日本代表を支えたスーパーエースが、2大会連続で五輪出場を逃した男子の再建を託された。新監督は今季プレミアリーグ終了後の来春に就任。任期は2年だが、原則的に東京五輪まで続投する。

 五輪に世界選手権、数々の大舞台を踏んできた男がそれでもやっぱり緊張した。会見場にはぎっしり100人の報道陣。「久しぶりのカメラのフラッシュで相当緊張した。注目度、期待度の高さの表れなんでしょう」。中垣内氏の表情は最後までこわばっていた。

 久しぶりだったのには訳がある。代表コーチ時代の12年に不倫騒動を起こして辞任。この日も「大変迷惑をおかけして」と謝罪の言葉を口にした。以来、競技とは距離を置き、4月にプレミアリーグ・堺の部長として復帰するまで、新日鉄住金の一社員として土木資材の営業にいそしむ毎日を送っていた。

 「バレーのことは一切考えず、バレーのことを自分から話すことは一切なかった」。営業先で「バレーの中垣内さんの親戚?」と聞かれれば「そうです」とうなずき、「大きいけど何かスポーツやってたの?」と聞かれると「何もやってないですよ」とごまかした。バレーボールとの関わりは、堺の試合をこっそり観戦する時だけだった。

 「(現役時代から)鼻高々になっていろんな人に迷惑をかけてきた」。代表のエースアタッカーとして活躍してきた自分の傲慢(ごうまん)さにも気づくことのできたサラリーマン生活だった。「営業は人対人。バレーでおろそかにしてきた誠実さと信頼を生かしていきたい」と貴重な経験を無駄にしたくないと語った。

 04年の引退後に堺の監督となり、就任2季目の05~06年シーズンにはリーグ優勝に導いたこともある。だが指導者としてのブランクは自覚しており、「自分の力には限界がある。多数の指導者の目で指導していきたい」と外国人コーチの登用やプレミアリーグの監督らとの連携で強化を進める考えでいる。「挑戦する以上はメダルを獲りたい」という東京五輪。中垣内新監督は周囲の助けを受けながら男子バレーの再興に乗り出す。

 ◆中垣内 祐一(なかがいち・ゆういち)1967年(昭42)11月2日、福井県生まれの48歳。福井・藤島高から筑波大を経て新日鉄(現堺)入り。大学時代から日本代表に選ばれ、豊富な跳躍力を武器にエースアタッカーとして長く活躍した。92年バルセロナ五輪に出場。04年に引退し、堺監督として05~06年シーズンにリーグ優勝。09年から米国で研修し、11~13年に男子の代表コーチを務めた。愛称は「ガイチ」。

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