“平尾さん、見てますか――” 神鋼フィフティ―ン、涙の1勝

[ 2016年10月23日 05:30 ]

ラグビートップリーグ第8節第1日 ( 2016年10月22日    鈴鹿 )

<ホンダ・神戸製鋼>試合前、平尾さんをしのび黙とうする神戸製鋼フィフティーン
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 涙の弔い白星を挙げた。神戸製鋼は22日、三重県鈴鹿市で、ゼネラルマネジャーで元日本代表監督の平尾誠二氏が53歳で急逝してから初の公式戦に臨み、ホンダに37―24で勝利した。1トライを挙げたフランカー橋本大輝主将(29)は試合後に号泣。両チームの選手はジャージーの袖に喪章を着け、この日の全会場で半旗が掲げられ、黙とうをささげた。

 チームを引っ張ってきた橋本大主将の背中が震えていた。37―24で勝利した後の会見。第一声が出てこなかった。マッケイヘッドコーチを挟み、平尾氏の右腕として長年付き添った井上聖人通訳もおえつを漏らした。「すみません」と断った後、リーダーは絞り出した。

 「この勝利を平尾さんが見てくれていれば」

 前日、スタッフが3時間がかりで全員分を縫い付けた喪章が左袖にあった。試合前の黙とうで亡き平尾GMへの感謝の気持ちがあふれ、その思いがプレーに表れた。「この試合だけは何としても勝たなくてはいけない」。前半14分、WTB山下楽の左サイド突破をフォローし、トライを挙げた。

 痩せ細った平尾氏に会ったのは1月だった。「もう1年頼む。君に任せたいと言われた」。主将は3年の任期が通例だが、5年目を託された。「神戸製鋼は常勝のチームでなければならない」という在りし日のGMのメッセージを、改めて胸に刻み込んで試合に臨んだ。「感情のコントロールが難しかった。ラグビーどころではなかった」。チーム一丸でつかんだこの勝ち点5は、天国へささげる逆転Vへののろしとなる。

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