最後まで“神ってる”星奈津美さん 引退会見での心遣い

[ 2016年10月8日 10:28 ]

4日の会見で現役引退を表明した競泳女子の星奈津美さん
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 「神ってる」という若者言葉が広がりつつある中、水泳界に神的存在の人がいる。4日に引退表明した五輪2大会連続銅メダルの星奈津美さんだ。ある若手女子選手に「やっぱり星さんって取材の時、対応は神ってますか?」と質問されたことがあるほど、タイムが悪かろうがいつも丁寧に取材に応じてくれる。

 星さんはミックスゾーンでの取材をひと通り終えても「すみません」と話掛ければ立ち止まり、急ぐ素振りも見せない。記者に質問をしてきた若手選手も、そんな先輩の姿を手本にしているのだろう。最近注目を集めた競泳の女子高校生選手は、礼儀正しく、受け答えがしっかりしている。

 星さんは15年夏の世界選手権で金メダルを獲得した。その3カ月前に行われた国内の大会。レースがなかった星さんとスタンドの入口付近で遭遇したが、関係者のパスを忘れたため警備員に止められ入れず、困惑の表情を見せていた。(その時点では)12年ロンドン五輪銅メダルの実績を明かせば、通行可能だったはず。友人がパスを持って来るまで待っていた。自己主張をするアスリートとは真逆の性格。そんな世界チャンピオンもまた魅力的だった。

 最後の会見を終えると初めての光景が目の前に広がった。星さんは「いつも心温まる記事を書いていただきありがとうございます(略)」という直筆カードを添えて、地元・埼玉県越谷市のお菓子を記者1人1人に笑顔で手渡した。神ってる星さんに、逆に心温められた引退会見だった。(宗野 周介)

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2016年10月8日のニュース