錦織「硬さもあった」ヒヤリ発進 日本人単独トップ大会18勝目

[ 2016年10月4日 05:30 ]

楽天ジャパン・オープン・シングルス1回戦 ( 2016年10月3日    有明テニスの森公園 )

第1セット、懸命にボールに食らいつく錦織
Photo By スポニチ

 世界ランキング5位で第1シードの錦織圭(26=日清食品)が、シングルス1回戦で世界81位のドナルド・ヤング(27=米国)を4―6、6―2、6―2で下した。第1セットは硬さも見られた錦織だが、最後は貫禄を示し、日本人単独トップとなる大会18勝目(6敗)を挙げた。5日の2回戦では世界34位のジョアン・ソウザ(27=ポルトガル)と対戦する。なお、観衆は初日としては過去最高の1万1651人が集まった。

 大会初日の月曜日から札止めの大観衆。日本テニス協会の名誉総裁を務める秋篠宮家の長女眞子さまも試合途中まで最前列で観戦した。出だしは鈍かった錦織のプレーは満員の客席に押されて徐々に加速した。「初日からたくさんのサポートを感じられていい試合ができた」。大きな期待を背負い、喜び以上に安ど感がにじんだ。

 実戦はダブルスで出場したデ杯以来2週間ぶり。シングルスとなると全米オープン準決勝以来、約3週間ぶりだった。しかもアルマグロの棄権で相手が急きょ、ヤングに変更された。同じ89年生まれで、IMGアカデミーでしのぎを削った間柄。「試合の入りはあまりよくなくて硬さもあった」と第1セットはショットが浅くなり、たびたび攻め込まれた。4―5で迎えた第10ゲームをブレークされ、場内はため息に包まれた。

 「初戦でそんなに簡単にいくとは思っていなかった。第2セットからは自分の気持ちも吹っ切れてリラックスできた」と劣勢でも動揺はなかった。深い返球を心掛け、相手を左右に揺さぶって展開に変化をつけた。第2セットを一方的に奪い、最終セット第4ゲームで30―30の際どい場面をしのぐと直後のゲームをブレークして逃げ切った。

 満員の客席には錦織がチケットを用意した陸上男子短距離の桐生祥秀(東洋大)の姿もあった。錦織は以前に「(足は)遅いですよ。100メートルは15、16秒かかる」と話していたが、コート上でのスピードは世界屈指。「刺激的な人が見に来るのはうれしい」とスピード感あふれるプレーで桐生の期待にも応えた。

 これで大会通算18勝目となり、鈴木貴男と並んでいた日本人最多勝記録で単独トップに躍り出た。トップギアに入るのはまだまだこれから。勝利数が積み上がるごとに、2年ぶりの大会制覇に一つずつ近づく。

続きを表示

この記事のフォト

2016年10月4日のニュース