山県、五輪後初戦で日本歴代4位タイ10秒03 今季3度目自己新

[ 2016年9月26日 05:30 ]

男子100メートル決勝 ケンブリッジ(右)を抑え10秒03で優勝した山県(4)

陸上全日本実業団対抗選手権最終日

(9月25日 大阪・ヤンマースタジアム長居)
 男子100メートルはリオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダルの山県亮太(24=セイコーホールディングス)が、追い風0・5メートルの条件下で日本歴代4位タイの10秒03の大会新をマークし初優勝。今季3度目の自己記録更新となった。ケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)は10秒15で2位だった。

 リオの輝きをそのまま持ち込んだ。五輪準決勝で10秒05の自己記録を出したばかりの山県がまたまた壁を突破。五輪後の初戦で日本歴代4位の10秒03を叩き出した。

 「今までの(10秒)0台は走りが空中分解しそうで足がついて来ない感じだったけど、バラバラにならずに走れた」

 納得の走りは超人的なスタートが起点になった。決勝の号砲反応時間は0秒107。0秒100未満だと、人間では反応し切れないとしてフライングになる。その限界値に1000分の7秒に迫る反射神経を見せた。2レーン左のケンブリッジには、6月の直接対決で0秒01差で敗れていた。「日本選手権は負けていたので、最後に差されないようにしっかり走りました」。リオ五輪400メートルリレー銀メダルの仲間でもあるライバルを、今回は寄せ付けず勝利を手にした。

 4年に1度の祭典後は取り巻く環境が一変した。まだ1カ月しか経過していないにもかかわらず、これまでに60件を超える取材やイベントに応じた。知名度は陸上界だけでとどまらなくなった。11日の陸上の大会でサイン会を開くと500人がズラリと並んだ。この日のケンブリッジとのサイン会には約1200人が応募。レース前も後も黄色い声援を浴び続けた。

 かつてない注目を浴びるものの、浮かれてはいない。冗談交じりに、出身地・広島へのアピール不足を悔やんだ。「県民栄誉賞が獲れなかった。(プロ野球、広島の)黒田さん、新井さん、(競泳金メダルの)金藤さんは獲ったのに。まだ足りないのかな」。次戦は10月の岩手国体。9秒台を出せば、故郷どころか日本の顔になることも夢ではない。

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