“忍者”楢崎 身軽さ武器に日本選手初の世界選手権V

[ 2016年9月19日 05:30 ]

ポーツクライミングの世界選手権を日本勢で初制覇した楢崎智亜

 2020年東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミングの世界選手権第4日は17日、パリで行われ、ボルダリング男子決勝で20歳の楢崎智亜(栃木県連盟)が日本選手で初めて優勝した。堀創(宮城県連盟)は6位。楢崎は16年のワールドカップ(W杯)ランキングで1位の実力者。4年後の東京五輪に向けて期待の膨らむ快挙となった。

 軽快な身のこなしで頂点に立った。ボルダリング男子の楢崎が日本選手として世界選手権初制覇。4年後の東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミング界のホープは「やってやったぞという感じ。歓声がめちゃめちゃ気持ちいい。最高でした」と笑った。

 上位6人による決勝は、横っ跳びで突起物をつかむアクロバティックな動きや関節の柔軟性、高い技術力が要求される変化に富んだ課題(コース)設定だった。

 準決勝を6位通過した楢崎は1番手で登場したことを追い風にした。「自分でペースをつくれて(後続に)重圧をかけられる」と先に成功していくことでライバルを揺さぶった。1つ目の課題をクリアし、3つ目も成功。トップで迎えた最後の課題は、覆いかぶさるような壁を忍者のような身軽さで攻略した。同じく3つの課題に成功したチェコ選手を試技数の少なさで上回った。

 パワーや手足の長さを武器とする海外選手に対し、身長1メートル70の楢崎は「空中感覚やバランス感覚に優れている。それが自分の長所」と自負する。子供の頃に親しんだ器械体操も生きているという。

 今年からW杯に全戦参戦。5月に行われた中国・重慶大会で初優勝を果たすと、その後もコンスタントに入賞を重ね、ドイツ・ミュンヘン大会ではただ1人、4つの決勝課題全てを完登。2位に大差をつけ、日本人男子としては初めて年間総合優勝を飾った。

 「これからどんどん活躍して“クライミングは格好いい”と憧れられる存在になりたい」。東京五輪の金メダルを目標にする20歳のクライマーは目を輝かせた。

 ◆楢崎 智亜(ならさき・ともあ)1996年(平8)6月22日、栃木県生まれの20歳。10歳でクライミングを始める。昨年アジアユース選手権マレーシア大会ボルダリング優勝。今年はW杯ボルダリング中国・重慶大会でも優勝した。1メートル70。

 ▽ボルダリング ホールドと呼ばれる突起物が設置された高さ約3~5メートルの人工壁を、ロープを使わずに制限時間内によじ登る。複数の課題(コース)をいくつ登り切れたかで争い、成功数で並んだ場合は挑戦した回数の少ない選手が上位となる。柔軟性やバランス感覚が求められる日本の得意種目で、女子の野口啓代(茨城県連盟)はW杯で4度の年間王者に輝いた。2020年東京五輪では制限時間内に到達できた高さを争う「リード」と、登り切る速さを競う「スピード」の各種目と組み合わせて実施する。(共同)

続きを表示

この記事のフォト

2016年9月19日のニュース