伊調、国民栄誉賞決定!記念品に着物おねだり「和装文化伝えたい」

[ 2016年9月14日 05:30 ]

花束を手に笑顔で“4”を見せる伊調馨

 リオデジャネイロ五輪のレスリング女子58キロ級で金メダルを獲得し、女子個人種目で五輪史上初の4連覇を達成した伊調馨(32=ALSOK)が13日、国民栄誉賞を授与されることが決まった。授与式の日程は今後調整される。レスリング界では12年の吉田沙保里(33=フリー)に続いて2人目の受賞者となった伊調は都内で会見し、記念品に着物などの和服をおねだり。偉大な功績を称え、伊調と吉田の名前を冠した大会の創設プランも浮上した。

 マットの上ではスポットライトを浴び続ける女王にとって、華やかな会見は主戦場ではない。「テレビや取材とか、マスコミさんがとりあえず苦手でして…」。リオ五輪で女子の個人種目では史上初の4連覇を達成し、国民栄誉賞の受賞が決定。無数のフラッシュを浴びた伊調は、照れくさそうにはにかんでいた。

 「信じられない気持ちが大きい。自分の人生をこれまで以上に考えていかないといけない。身が引き締まる思いです」

 3歳でレスリングを始め、たどりついた最高の栄誉。レスリング協会関係者、所属先のALSOK、尊敬する先輩の吉田…。感謝するべき人はたくさんいるが、真っ先に脳裏に浮かんだのは、2年前に65歳で亡くなった母・トシさんだった。母の性格を誰よりも知っているから、天国からのメッセージも想像できた。

 「母はきっと“死んだ人間に感謝するのではなく、生きている人間に感謝しろ”と言うような気がしている」

 伊調は会見には黒のジャケットを着て姿を見せた。国民栄誉賞の受賞者には表彰状、盾の他に記念品が贈られる。11年のサッカーの女子W杯を制したなでしこジャパンには熊野筆の化粧筆7本が、12年の吉田には真珠のネックレスが贈られた。「五輪に4度出て、これから世界に出ていく機会が増えていく」と言う32歳が希望するものは、和服だった。

 「着物だったり、日本人女性の誇りの和装文化を伝えていきたい気持ちが出てきた。おねだりできたらいいかな」

 20年東京五輪に向けては、「挑戦したい気持ちになることもあるけど、まず自分がこれから何がしたいのかを考え、いろんな選択肢の中から決めたい」と明言を避けた。決断には時間を要するが今、これだけは言える。「自分の中では、まだ通過点。レスリング人生はまだ半分。50点くらい」。五輪4連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞しても、まだ道半ば。伊調とレスリングの蜜月は、これからも続いていく。

 ◆伊調 馨(いちょう・かおり)1984年(昭59)6月13日、青森県八戸市出身の32歳。兄、姉の影響で八戸クラブでレスリングを始め、五輪は04年アテネ、08年北京、12年ロンドンと63キロ級で3連覇し、16年リオは58キロ級で金メダル。世界選手権も10度の優勝を誇る。1メートル66。

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2016年9月14日のニュース