木村 銀発進 5種目メダルコレクションへ「乗っていけます」

[ 2016年9月14日 05:30 ]

<水泳男子50メートル自由形S11(視覚障害)決勝>銀メダルを獲得し笑顔を見せる木村

リオデジャネイロ・パラリンピック 競泳男子50メートル自由形(視覚障がいS11)

(9月12日)
 競泳の男子50メートル自由形(視覚障がいS11)で、木村敬一(26=東京ガス)が26秒52で、同種目初の銀メダルを獲得した。金メダルを狙う100メートル平泳ぎ(日本時間14日決勝)と100メートルバタフライ(同15日決勝)へ向けて弾みをつけた。陸上男子400メートルリレー(切断など)の日本は3位で、今大会の陸上チーム初のメダルに輝いた。ボッチャのチーム(脳性まひ)の日本は決勝で前回覇者のタイに完敗し、同競技初のメダルは銀となった。

 タッチした瞬間の手応えはいまひとつだった。「スタートがうまくいかなかったので、どうなのかな」。ゴールのタイミングをタッピングバーを使って教えてくれる寺西コーチに順位とタイムを伝えられると、木村の表情に笑みが広がった。自己ベストを0秒28更新する26秒52で2位。大歓声に沸く日本の応援団のいる観客席に向かって手を振り、拳を突き上げた。

 スタートの浮き上がり直後に右のコースロープにぶつかった。「深く潜りすぎた。これは大変だと思った」。6月の国内大会ではスタートで曲がって入水し、隣のレーンに浮き上がる失敗を犯したばかり。同じミスの感覚があったという。だが、ひるむことなく腕をかいた。「50メートルはバテる心配もない。十分な練習を積んできた自信があった」。100%のパフォーマンスではなくても、自己ベストで銀メダル。地力がついた証だった。

 先天性疾患による両目網膜剥離で、2歳で視力を失った。10歳で水泳を始め、高3で08年北京パラリンピック出場。12年ロンドン大会では100メートル平泳ぎ銀、同バタフライ銅の2つのメダルを獲得した。ロンドン大会後は肉体改造に励んできた。食事は1日5回、計5000キロカロリー。ウエートトレーニングは週2回。体重は62キロから70キロに増え、筋骨隆々の肉体になった。「体重があった方がエネルギーをため込める」。パワーアップの成果を早速最初の50メートル自由形で示した。

 100メートル平泳ぎとバタフライでは金メダルを狙っている。「これからレースが続くので、乗っていけます」。トビウオ・パラジャパンのエースが最高のスタートを切った。 

 ◆木村 敬一(きむら・けいいち)1990年(平2)9月11日、滋賀県生まれの26歳。筑波大付属視覚特別支援学校―日大卒、日大大学院修了。昨年7月のIPC(国際パラリンピック委員会)世界選手権100メートル平泳ぎ&同バタフライ2冠。1メートル72、70キロ。

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2016年9月14日のニュース