松田 現役ラストレースは3位「自分らしい」 五輪でも3度銅

[ 2016年9月10日 05:30 ]

<成年男子400メートル自由形>3位となり、声援に応える松田丈志

2016希望郷いわて国体・成年男子400メートル自由形決勝

(9月9日 盛岡市立総合プール)
 成年男子400メートル自由形決勝は、今大会限りでの引退を表明している松田丈志(32=セガサミー)が、3分51秒12の3位で現役最後の泳ぎを終えた。08年北京五輪、12年ロンドン五輪男子200メートルバタフライ銅メダル、16年リオデジャネイロ五輪男子800メートルリレーでも銅メダルだった男は、ラストレースも銅メダルだった。

 最後のターンを2番手で折り返すと、10歳近く離れた後輩たちが猛然と追い上げてきた。1人に抜かれ3番手。スピードが落ちてきた松田は体にムチを打ち、残り1メートルで懸命に腕を伸ばした。五輪3大会連続で銅メダルを獲得したベテランの最後は、4位と100分の1秒差の3位。「金は獲れなかったが、3番には縁があった。自分らしいと思う」と笑った。

 大会前は原点といえる宮崎県のビニールハウスのプールで調整した。延岡市の古びた環境で、4歳から久世由美子コーチ(69)と体を鍛え、代名詞といえる200メートルバタフライでマイケル・フェルプス(米国)ら猛者と戦った。「28年間、夢を見させてくれた」と久世コーチ。松田も「一番お世話になった人」と感謝を忘れなかった。

 北島康介らと銀メダルを獲得したロンドン五輪400メートルメドレーリレー。4年前は「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」という名言を残し、萩野公介らと出場したリオでは後輩たちから飛び出した「丈志さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」という合言葉の下、同種目52年ぶりのメダル獲得で飾った。

 個人種目では今も800メートル自由形、200メートルバタフライの2種目で日本記録を持つ名スイマーは「次の世代につなげることはできた。感謝の気持ちでいっぱい」と晴れやかな表情。プールから上がると別れを告げるようにスタート台をぽんぽんと叩き、汗と涙を流した水面を見つめた。

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2016年9月10日のニュース