国枝 前人未到3連覇へ「全員倒すつもりでやらないと」

[ 2016年9月9日 05:30 ]

試合会場での練習後、笑顔を見せる車いすテニスの国枝

リオデジャネイロ・パラリンピック開会式

(9月7日 マラカナン)
 リオデジャネイロ・パラリンピックの開会式が7日、マラカナン競技場であり、12日間に渡る障がい者スポーツの祭典が幕を開けた。南米初開催の今大会には159カ国・地域の選手と難民選手チームの2人を合わせ大会史上最大規模の約4300選手が参加。日本は12年ロンドン大会の2倍となる金メダル10個を含む計40個のメダルを目標に掲げる。車いすテニス男子シングルスでは、国枝慎吾(32=ユニクロ)が前人未到の3連覇に挑む。

 日本が誇る最強のパラアスリートは開会式に参加せず、コンディション調整に努めた。国枝は日本パラリンピック委員会を通じて「全力を尽くし頑張ります!」と短くコメント。9日から始まる1回戦に向けて戦闘モードに切り替えた。

 前人未到の3連覇に挑む車いすテニス界のレジェンドに待っているのはかつてない厳しい戦いだ。昨秋に違和感が出た古傷の右肘。ごまかしながらプレーを続けたが痛みは次第に大きくなり、今年1月の全豪オープンでは4大大会初の1回戦負けを喫した。悩んだ末に4月に手術。だが、6月の全仏で痛みが再発し、7月のウィンブルドンをキャンセル。約1カ月テニスから離れ「もしかしたら、出られないかも」とパラリンピック欠場も脳裏をよぎった。

 それでも地道な治療とトレーニングで「完全ではないものの、十分戦えるまで仕上がった」と間に合わせてきた。8月下旬、カナダで行われた国際大会で優勝。リオ入り後も精力的に練習を重ねた。「まだまだ自分の可能性を信じている」。自信も徐々に戻ってきている。

 20歳で初出場した04年アテネ大会では斉田悟司と組んだダブルスで金メダルを獲得した。08年北京大会は前年に史上初のグランドスラムを達成し、勢いに乗って臨んだ。12年ロンドン大会は痛めた右肘を半年前に手術し、余裕を持って大会に入った。シングルス、ダブルス合わせて3個の金メダルを手にしたこれまでは万全で挑めたが、今回は状況が大きく異なる。

 世界ランキングも長年君臨した1位から6位となり、今回は第6シードとなった。3年前に20年東京五輪・パラリンピックの開催が決まり、これまでにない注目度の中で迎えるリオ大会。「金メダルのためには全員倒すつもりでやらないといけない。1回戦から世界No・1と当たろうが関係ない」。逆境に立つ王者は闘志をむき出しにして偉業に挑む。

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2016年9月9日のニュース