【内藤雄士の目】遼“ケガの功名”アプローチ&パットが進化

[ 2016年8月29日 07:50 ]

<RAIZAP KBCオーガスタ最終日>6番、バンカーショットを放つ石川遼

男子ゴルフツアーRIZAP・KBCオーガスタ最終日

(8月28日 福岡県糸島市 芥屋ゴルフ倶楽部=7151ヤード パー72)
 石川の勝因はショートゲームだ。特にパットの精度が高かった。印象的だったのが第3日の18番のパーパット。1・5メートルほどの距離ながら右に鋭く切れる難しいスライスラインをカップの真ん中から沈めた。あのパットはストローク中に体の軸がぶれたり、体が開いたりすると入らない。軸をキープし、体を開かずに打てたのは練習量のたまものだ。

 アプローチも手で突っつくような余計な動きがなく、フィーリングも良かった。離脱中は腰に負担を掛けないよう強振するショットの練習量は制限していたはず。その分、パットとアプローチの練習に時間を割いてきたのだと思う。その成果が表れていた。

 米ツアーではさまざまな種類の芝でプレーする。例えばポアナ(スズメノカタビラ)のグリーンは球が不規則に転がるので正しい打ち方をしても外れることがある。そういうことを繰り返すうちに自信を失ったのだと思う。離脱中に彼本来の打ち方を取り戻したことが今回の結果につながった。

 ショットに関しても腰の不安はなくなったように見える。フェアウエーキープ率(37・5%)、パーオン率(59・72%)は高くないから満足はしていないだろう。ただ1Wでグリーンの近くまで飛ばし、ラフからでもショートアイアンでピンを狙うのが石川のスタイルだから深刻に受け止める必要はない。

 もちろん米ツアーで上位に入るには精度を上げる必要があるが、腰の不安がなくなれば練習量を増やして良い状態に持って行くことができる。ショットの自信を取り戻す上でもこの勝利は良いきっかけになる。 (ツアープロコーチ)

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2016年8月29日のニュース