シンクロ復活の銅メダル!井村監督「強引に引っ張ってきた責任果たせたかな」

[ 2016年8月20日 05:30 ]

得点が表示され喜ぶシンクロ日本。銅メダルを獲得(AP)

リオデジャネイロ五輪シンクロナイズドスイミング チーム・フリールーティン

(8月19日)
 シンクロナイズドスイミングのチーム決勝のフリールーティン(FR)が19日に行われ、日本(乾、三井、箱山、吉田、中牧、小俣、中村、丸茂)が銅メダルを獲得した。18日のテクニカルルーティン(TR)で3位につけ、FRでもライバルのウクライナを振り切って合計189・2056点をマークして3位に入った。同種目では、銀メダルだった04年アテネ五輪以来3大会ぶりの表彰台。この時点で日本は今大会38個目のメダルとなり12年ロンドン大会と並んで最多となった。

 8組中の最後で「天照大神(あまてらすおおみかみ)」をテーマにした演技を完遂した。7組を終えた時点で3位だったウクライナを0・5976点上回り、銅メダル獲得だ。エース乾ら、選手は歓喜の涙で顔を覆いながら引き揚げた。14年に復帰した井村雅代監督は目を細め「よく頑張った」と声を掛けて選手と抱き合った。

 和太鼓も織り交ぜた優雅な曲調で、マーメイドが躍動した。独創的なリフトに、終盤の20秒以上に及ぶ足技。約4分の演技には猛練習で培った技術が凝縮されていた。メダルには94・8357点が必要だったが、きっちり超えてみせた。

 前日のTRは、4位のウクライナに0・331点差をつける好発進だった。だが、井村監督は「TRで勝ったからといって全然勝ったことにならない。明日決着つける」と選手たちにさらなる奮起を求めた。3月の五輪予選はTRでウクライナに先手を取られて敗れたが、本番は逆転。デュエットに続く2個目のメダルが近づき、三井は「(予選は)負けから始まっていたので、一歩でも前に出られたのは大きい」とうなずいた。

 ライバルに勝つために、ストイックな練習を重ねた。倒立時に8人の爪先のラインがより高い位置で合うよう、特に多くの時間を割いた。最も身長が高い1メートル76の箱山の太腿に目印となる白いテープを貼り、その“箱山基準”を基に他のメンバーも太腿に白いテープを貼って反復練習。脚の長いウクライナらライバル勢との差を埋め、TRでも足技が連続する最後の見せ場の得点アップにつなげた。

 日常生活でも一流選手としての振る舞いを徹底した。井村監督は、パーカのフードから垂れる2本のひもの長さがそろっていないと「見られている意識が足りない」と指摘し、髪の整え方が雑な選手には「それ、手ぐしちゃうか。ちゃんとブラシでせなあかん」と注意した。全ての時間をシンクロのために費やしたことで、選手たちは戦える心と体になっていた。

 乾と三井がデュエットで獲得した銅メダルを見たチームのメンバーは、手に取っても首にはかけず「絶対自分で獲ってかける」と言って試合に集中していた。乾は「勝ちたい気持ちを思い切り出した演技をしたい」と勝負のフリーに目を向けていた。そして、見事に結果を出した。

 井村監督は「ここ1、2年、強引にあの子らを引っ張ってきた。何とか付いてきたら良いことがあると分かったと思う。(自分も)強引に引っ張ってきた責任を果たせたかな」と感慨深げに語った。デュエットに続き2種目で表彰台を確保。シンクロ日本が復活した。

続きを表示

この記事のフォト

2016年8月20日のニュース