山口13年世界女王撃破!準々決勝で奥原と日本人対決”

[ 2016年8月17日 05:30 ]

女子シングルの1回戦を勝ち上がった山口

リオデジャネイロ五輪バドミントン女子シングルス1回戦

(8月15日 リオ中央体育館パビリオン4)
 リオデジャネイロ五輪バドミントン女子シングルス決勝トーナメント1回戦が15日に行われ、世界ランキング12位の山口茜(19=再春館製薬所)が4位のラチャノック(21=タイ)を2―0で下して準々決勝に進出した。6位の奥原希望(21=日本ユニシス)も13位のペ・ヨンジュ(25=韓国)に2―0で勝って8強入り。16日(日本時間17日午前7時40分)の準々決勝では両選手が対戦することになり、どちらが勝っても同種目では日本人としては史上初の4強入りとなる。

 下克上を果たした山口は、笑顔でコーチ席に向かって左腕を掲げた。「勝てたことはうれしい。ですけど、もう1試合できるのが一番楽しみ」と、初の五輪舞台を堪能する時間が延びたことを喜んだ。相手は13年の世界選手権女王。世界のトップ選手が集まるスーパーシリーズで年間ランキングのトップに立ち、今季3勝と絶好調の優勝候補だったが、怖いもの知らずの19歳が、下馬評を覆した。

 楽な戦いではなかった。第1ゲームは接戦の末に21―19で制したが、第2ゲームは序盤に最大5点のリードを許した。しかし、徐々に追い上げると14―14から6連続得点。一気に突き放し、逃げ切った。「予選は良い試合内容じゃなかった。今日は自分のプレーを出すことを心掛けていました。やっと楽しめた。85点」と自己採点。コート狭しと走り回る大胆さに加え、相手の強力スマッシュを封じるため、めったに使わない低く短いショートサーブを多用した緻密さで上回った。

 躍動する姿を見せたかった。所属する再春館製薬所は熊本県益城町にあり、4月に地震に襲われた。自身はシンガポールに遠征中だったが、同地域の多くの人が傷ついた。帰国後は避難所で炊き出しを行うなど支援活動にも参加した山口。「お世話になった土地の人に元気になってもらいたい。明るい話題  を届けられるようにしたい」と恩返しを誓っていた。この試合の勝利とともに“史上初の4強入り”という明るいニュースを届けるつもりだ。

 準々決勝の相手は3学年上の奥原に決まった。いずれも高校時代に全日本総合で優勝。新旧の“スーパー女子高生”と騒がれたが、国際大会5度の対戦では、全てストレート負けしている。宿舎では同部屋。「(遠征では)いつものことです。いつも通りです」と平常心を強調したが、戦い方について問われると「ちょっと、今から考えます」と、表情をこわばらせた。

 宿舎ではいつも、おのおので自由な時間を過ごす。山口はリビングでテレビを見たり、ゲームに興じるが、決戦までは“打倒・奥原”の対策を練る。

 ▽五輪での日本人対決 00年シドニー大会のビーチバレー女子1回戦で高橋有紀子・佐伯美香組と石坂有紀子・清家ちえ組が対戦した例がある。組み合わせは世界ランキングで決められ、“格上”の高橋・佐伯組が15―3で快勝。五輪直前の大会で敗れた雪辱を果たし、最終的には4位に入賞した。佐伯と清家は所属が同じで、応援に駆けつけた会社関係者は得点が入っても拍手できず、見守るしかなかった。

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