天才トリオで卓球男子史上初メダル確定!水谷「金しか見ていない」

[ 2016年8月17日 05:30 ]

決勝進出を決め、メダルを確定させた卓球男子団体の(左から)丹羽、吉村、水谷、倉嶋監督

リオデジャネイロ五輪卓球男子団体準決勝

(8月15日 リオ中央体育館パビリオン3)
 100年に1度の天才トリオが大仕事だ。男子の団体準決勝で、第4シードの日本は第2シードのドイツに3―1で勝って決勝進出を決め、男子団体初のメダルを確定させた。水谷隼(27=ビーコン・ラボ)が2勝の活躍。仰向けになって喜ぶ“大の字キング”は、この日もど派手に歓喜のポーズをした。根暗、ダサイ、暗いの卓球のイメージを払しょくすべく、17日(日本時間18日午前7時30分)の決勝で中国と対戦する。

 水谷はただのビッグマウスではなかった。日本を出発する時に「天才の集合。この100年で一番強い」と触れ込んだ通り、男子卓球界に風穴を開けた。準決勝で強敵ドイツに勝ち、団体初のメダルとなる「銀」以上を確定。もちろんシングルス銅メダリストが中心になった。

 「自分が2点取らないと負けると思っている。エースのプライド。みんなの前で負ける姿を見せたくないし、不安にさせたくない。相手が誰であろうが勝ちたい」

 ダテに自ら「エース」と名乗っていない。1人目の吉村が敗れた後、2マッチ目で試合を振り出しに戻した。元世界1位で過去1勝15敗のボルにストレート勝ち。第1ゲームは4―8からまくり、最後は相手サーブを狙う2球目攻撃で連続得点。読み切っていた。

 中学2年からドイツのデュッセルドルフに所属。18歳からの1年間は「貴公子」としてチームに君臨したボルがルームメートだった。「いろんなことを学んだ」。ドイツには08年北京五輪、14年世界選手権の準決勝で屈していたが、プロの生きざまを教えてくれた師匠を倒して勢いをつけた。

 磐田北小(静岡)6年の時に「卓球一筋」と習字で卒業の誓いをしたサウスポーは、競技のメジャー化を願ってきた。「根暗なイメージが強いし、暗いとかダサイとかも。こうやって活躍すればそれを払しょくできる。卓球で食べていこうという国に日本がなれば」。卓球はメダルを狙えるし稼げる。身をもってそれを体現している。

 年収は「1億にちょっと届かないぐらい。貯金は楽勝で1億円以上あります」と豪語。ロシアリーグのオレンブルクとの契約金が数千万円で、あとはスポンサー収入、賞金で大台に迫っている。

 プロフェッショナルの矜持(きょうじ)を最後に見せた。4マッチ目のシュテーガー戦。叩き付けるような強打を6発見舞って、チームの勝利を決めた。大の字に寝転がってのガッツポーズ。男子初メダル確定の瞬間は、全て計算ずくだった。

 「最後は最高のプレーで決めたかった。最後の1本は映像にもなりますし。最高のプレーを見せたかった」

 14年に世界ツアーのグランドファイナル(タイ)で優勝したものの、帰国時に出迎えたメディアはゼロだった。その大会の女子を制した石川は先に帰って記者に囲まれた。「いつか見返したかった。女子だけでなく、男子も注目してほしい。10年前から思っていた」。決勝は無敵の中国。「もう優勝しか見ていない。あと1試合最高のプレーをしたい」。不可能を可能にした時、花形種目の地位が不動になる。

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