【400M障害】久保倉里美 ミセスで3度目夢舞台 感謝刻み「出し尽くす」

[ 2016年8月5日 09:00 ]

3度目の五輪に臨む女子400メートル障害代表の久保倉里美

 リオデジャネイロ五輪の女子400メートル障害代表の久保倉里美(34=新潟アルビレックスRC)が“3度目の正直”に挑む。過去出場した2大会(北京、ロンドン)では納得したレースができず、ともに準決勝敗退。故障からの復活を果たして切符をつかんだ今大会は、結婚後初めて臨む夢舞台でもある。「納得できる結果を残したい」。闘志を燃やし、すべてを出し尽くすつもりだ。

 
 過去2大会は世界の高い壁に阻まれてきた。「世界のファイナリストとは力の差があると感じた」。五輪の借りは五輪で返す…。この4年間は、スピード強化のために筋力トレーニングに重点を置くなど「足りなかったもの」を補うことに時間を割き、ひたすら課題克服に励んだ。

 順調に進んだトレーニング。しかし昨年は満身創痍の1年となった。日本選手権では左アキレス腱痛の影響で6位。33歳(当時)という年齢を指摘する声も出た。何をやっても上手くいかず「精神的にも落ち込みました」と振り返るが、だからこそ「ここでは終わってはいけない。絶対に復活する!」と、より気力が湧き上がったという。

 そして迎えた今年5月の大会で参加標準記録を突破。満を持して臨んだ翌月の日本選手権では2年ぶり9度目の優勝を果たし、3度目の五輪出場を決めた。「不安は過去2回の方が大きかったですね。確実にオリンピックを手に入れようと思っていましたし、優勝して当たり前じゃないと世界では戦えないですから」。昨年の故障が久保倉を一回り大きくした。

 大きな支えがあることも、前大会までとは大きな違いだ。2013年、10年の遠距離恋愛というハードルを乗り越えて元400メートル障害の千葉佳裕氏(37=城西大陸上部監督)と結婚。「アスリートとしての生活を優先してきたので気持ちの面で変わったことはありません」と話すが、「ただ、その分色々と迷惑をかけたと思うので、結果を出して頑張らないといけない」と責任感を口に。また一人でトレーニングをするようになるなど練習環境も変化したことで「サポートしてくださる人に対して、より感謝の気持ちが強くなった」と明かす。

 400メートル障害。為末大氏(38)が世界大会で2度銅メダルを獲得、今大会も野沢啓佑(25=ミズノ)がメダル候補に挙がるなど男子に視線が集まるが、日本選手権で前人未到の8連覇を成し遂げた久保倉は女子の先駆者。だからこそ「男子で出来るのだから女子もできると思って頑張ってきました。若い選手たちにもそういう気持ちでやってほしいと願っています」と競技への姿勢を示すことが若手へのメッセージになると感じている。「積み重ねてきたものをすべて出し、悔いのないレースをしたい。そして、見ている方がワクワクするようなレースができれば」。女子の五輪障害種目では初となる3度目の大舞台へ。輝かしい競技人生に新たな1ページを加える。

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2016年8月5日のニュース