九重親方出身地の北海道福島町「早過ぎる」「庶民的な人」と惜しむ声

[ 2016年7月31日 21:19 ]

元横綱千代の富士、九重親方死去

 「地元の英雄だった」。九重親方の出身地、北海道福島町では31日、同級生やゆかりの住民らが、故郷が生んだ大横綱の死を悼んだ。

 小中学校の同級生で同町の自営業、野川裕行さん(61)はテレビで一報を知った。「体調が悪いとは聞いていたが、本当に早過ぎる。これから後進を指導して横綱を育て上げると思っていた。町を挙げて親方を応援していたのに」と声を落とした。

 海に近い、親方が生まれ育った地区に住む主婦吉沢てるさん(70)は「中学時代から体格が良く、運動神経も抜群だった。小柄でも正面からぶつかっていく姿は、地元の英雄。ショックです」と残念がった。

 九重部屋は毎年8月、福島町で合宿していた。小中学校の同級生、自営業吉田隆悦さん(60)は「弟子たちと帰って来るのが町民の楽しみだった。まだ実感が湧かない」。町内ですし店を営む60代の女性は「弟子たちと来店しては『好きなだけ食べろ』と勧める、太っ腹で、気さくな人だった」と惜しんだ。

 鳴海清春町長(60)も小中学校の同級生。町役場で取材に応じ「ちゃめっ気があり優しい性格だった」と振り返った。横綱に昇進し、列島中が「ウルフフィーバー」に沸いたころ、町では花火を上げて千代の富士の白星を祝っていたという。「7月に名古屋で会った際、以前よりも痩せた印象だったが『合宿に行くから』と言っていた。今年も来てくれると思っていた」と語った。

 「まだ亡くなるような年じゃないのに」と言葉を詰まらせた同町の須藤緋呂子さん(70)。経営する理容店には、親方の父も訪れたという。「千代の富士時代、昇進のたびに町で開かれたパレードを見に行った。庶民的で、手を伸ばせば必ず握手してくれた」と、親方をしのんだ。

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2016年7月31日のニュース