ロシア陸上五輪出場アウト イシンバエワ「偽の金を取ればいい」

[ 2016年7月22日 05:30 ]

イシンバエワ

 ロシアの国ぐるみのドーピング違反問題で、スポーツ仲裁裁判所(CAS、本部ローザンヌ=スイス)は21日、国際陸連がロシア陸上チームのリオデジャネイロ五輪出場を禁じた決定を支持する裁定を発表した。これにより個人資格で出場する一部選手を除き、同国陸上選手の五輪出場が不可能となる。リオ五輪からのロシア選手団を全面除外する判断にも影響しそうだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)はCASの判断を基に、24日に電話による緊急理事会を開き、8月5日に開幕する同五輪へのロシアの出場可否を協議する。スポーツ大国が五輪から締め出される事態となれば、歴史に残る大きな汚点となる。IOCは「我々は今回の決定を調査し、分析しなければならない」との声明を発表した。

 一方、CASの裁定についてロシアのムトコ・スポーツ相は「私の考えでは何の法的根拠もない、主観的で多少政治的な決定だ」と批判した上で「民事裁判に訴えることもできると思う」とCAS以外の裁判所に訴えることも示唆。女子棒高跳びの世界記録保持者、イシンバエワは「私たちが欠場する中、外国選手らは安心して出場し、偽の金メダルを獲ればいい」と皮肉った。

 仮にロシア選手団全体が五輪から締め出される事態になれば、プーチン大統領の権威に傷がつく。新たに2014年ソチ冬季五輪などでの国家ぐるみの不正を認定した世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームの報告書が公表された18日。危機感を募らせたプーチン大統領は声明で、米ソによる五輪のボイコット合戦に発展した「1980年代初頭をほうふつさせる」と発言。反ドーピングの動きの背後に米国の存在があることに不快感を示しており、今後こうした姿勢を強めることが予想される。

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2016年7月22日のニュース