白鵬3秒で3敗 V戦線から後退…1000勝は来場所へ持ち越し

[ 2016年7月22日 05:30 ]

再度の立ち合いで白鵬(右)は照ノ富士に寄り切りで敗れる

大相撲名古屋場所第12日

(7月21日 愛知県体育館)
 38度目の優勝を狙う横綱・白鵬が大関・照ノ富士に敗れ、3敗に後退した。1度目の立ち合いが不成立となってリズムを崩したのか、力なく寄り切られて今場所の目標としていた通算1000勝も来場所に持ち越しとなった。横綱・日馬富士と綱獲り大関の稀勢の里はともに2敗を守ってトップを並走。小結・高安は3敗目を喫した。首位の2人を1差で白鵬、高安、平幕の宝富士、貴ノ岩の4人が追う展開となった。

 混沌(こんとん)としていた優勝戦線のトップから白鵬が脱落した。稀勢の里と日馬富士が2敗を守って迎えた結び。照ノ富士を相手に立ち合いで踏み込んで左四つに組んだ。だがその瞬間、立行司の式守伊之助が「待った!」と連呼した。5秒ほど相撲を取ったところで横綱が力を抜いてやり直し。波乱が起きたと勘違いした客席からは数枚の座布団が飛んだが、結果は立ち合いの不成立だった。

 2度目の立ち合い。すぐに左上手を許すと出し投げで横向きにされ、なすすべなく後退。わずか3秒で寄り切られ、今度は大量の座布団が舞った。打ち出し後に伊之助は「(呼吸が)合っていなかった。ずれていた」と説明。引き揚げてきた支度部屋で白鵬は報道陣に囲まれたが、珍しく言葉が出なかった。何を聞かれても無言で時折「ふぅ」と息をつき、最後に立ち上がる際に「おしっ」とつぶやいただけだった。 

 「右足を引いたときにぴりっときた」と帰り際に漏らしたが、実は、最初の不成立で組み合った際にハプニングが起きていた。9日目の勢戦でつまずいて負傷した右足親指に痛みが生じた。土俵下で見た二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)も「足首が悪いのかなと思った」と印象を語ったように、現在の横綱に乱れた心をすぐに立て直すほどの体力はなかった。

 この日朝には「後半戦は長く感じる」と本音を吐露。2敗で4人が並んでいた展開には「こうなってしまった以上どうなってもおかしくない。対応するだけ」と言葉を選んだ。宝富士と勢の平幕2人に敗れた上に足を負傷。いつものあふれるような自信が少しずつ薄れ始めたのかもしれない。

 これで通算1000勝は来場所へ持ち越し。残りの豪栄道戦、稀勢の里戦、日馬富士戦で3連勝すれば自力で38度目の優勝を飾れるチャンスは残すが、手負いの横綱にどれたけの体力と気力が残されているだろうか。

 ≪白鵬の3敗でのV≫ 07年九州の1回だけ。初日、8日目に敗れたが、14日目に千代大海との2敗対決を制して単独首位。千代大海が千秋楽を休場したため優勝が決定。その後の取組で琴光喜に敗れた

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