Qちゃん&野口みずきさん 日本3人娘へ金言「強い気持ちで主導権を」

[ 2016年7月15日 10:22 ]

自身の金メダルを手にリオ五輪女子マラソン代表メンバーにエールを送る高橋尚子さん(左)と野口みずきさん

 栄光の歴史に新たな一ページを刻め。リオデジャネイロ五輪の女子マラソンは8月14日(日本時間午後9時30分号砲、TBSで同9時から生中継)に行われる。リオ五輪の同局スペシャルキャスターで00年シドニーを制した高橋尚子さん(44)と、女子マラソン中継スペシャルコメンテーターの04年アテネ女王・野口みずきさん(38)の対談が実現。2人の金メダリストは福士加代子(34=ワコール)、伊藤舞(32=大塚製薬)、田中智美(28=第一生命)の代表3人に金言を授け、日本の復活に期待を寄せた。

 高橋さんがシドニーを制してから16年、野口さんがアテネを駆けてから12年が経過した。かつて世界のトップに君臨した日本女子マラソンだが、08年北京五輪、12年ロンドン五輪と惨敗。強力アフリカ勢が台頭する中、復活を託された3人娘へ、2人の金メダリストから金言が届いた。

 高橋さん「私も(野口)みずきちゃんも(五輪で)主導権を握っていたよね。先手先手を打っていけた」

 シドニーの高橋さんは前半でライバルの人数を絞り、34キロでスパート。アテネの野口さんは25キロという早い地点で仕掛けて、そのまま歓喜のフィニッシュに到達した。

 野口さん「もともと早めにスパートをするプランはありました。気持ちを強く持って主導権を握る方がいいですね」

 自らの意思でレースをコントロールし、自分の得意パターンに持ち込む。そのためにはライバルではなく、内に潜む恐怖心に勝つ必要がある。

 高橋さん「五輪だと(仕掛けるには)覚悟がいる。難しいけど、躊躇(ちゅうちょ)している時間はない。行くんだったら行く。判断を即座にしていかないと」

 野口さん「勝負どころは迷っているうちに来てしまいます。ここしかないっていう時に、私はスパッといけました」 

 高橋さんは解説者として福士、伊藤、田中のレースを見つめ、リオを目指していた野口さんは3人と日本陸連のナショナルチーム(NT)で14年夏に合宿をともにし、レースでも争った。2人の金メダリストから見た3人の特長とは。“トラックの女王”といわれた福士は、初めてマラソンで五輪に挑む。

 高橋さん「感情に任せていくんじゃなくて、42キロを組み立てていく能力がついた。トラックが速いというのは私たちからすると憧れだよね」

 野口さん「ケニアやエチオピアの選手に近いと思います。脚が長いスタイルもそうだし、爆発力があります」

 伊藤は昨夏の世界選手権で7位に入賞するなど、安定感が武器だ。

 高橋さん「最後まで耐える力があるのは伊藤さんかな。合宿で何か質問されたこととかある?」

 野口さん「伊藤さんからは“スクワットは何キロでやっていますか?”とか食事のことなど。暑い中での練習でも、最後まで粘っていました」

 田中は名古屋ウィメンズで小原怜と1秒差の激戦を制し、リオ切符を獲得した。高橋さん、野口さん、田中は昨夏、米国の高地で一緒に走った。

 高橋さん「走っているのを後ろから見ると、凄く軽快にリズム良く走る選手だなって思った。勝負強さもあるよね」

 野口さん「自分の力を発揮するところを分かっていてそれをちゃんと出せる選手だと思います」

 8月14日。スタートラインに立つ時に、いかに自分を信じられるか。

 高橋さん「これだけは他の選手に絶対に負けていないってものをどれだけ言えるか。“一番、走ってきた”でもいいし、“一番、腹筋をしてきた”でもいい。そういうものがきつくなった時に支えになってくれる」

 野口さん「一番、大事なのは気持ち。“できないかも”とか“駄目かも”って少しでも思ったら、崩れ落ちていきます。心技体というけど、マラソンは心が80%くらい占めている」

 2つの金メダルを並べて、対談は行われた。栄光の歴史をつくった2人だからこそ、言えることがある。

 高橋さん「マラソンは国民的文化と言えるほど浸透してきた。リオでは、この(2つの金メダルの)続きが見えるような瞬間であってほしいな。今のマラソン界にちゃんとしたしるしを残してほしい」

 野口さん「獲った時も獲った後もいろいろな経験ができたし、金メダルには感謝しています。3人にもそうやって世界を広げてほしいな。この隣にまた(金メダルが)並んでほしいですね」

 3人娘が全力を尽くした先に黄金の輝きが待っていることを、2人の金メダリストは信じている。

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