代表強化へ国内リーグは何をすべきか…バレー南部監督が指摘する課題

[ 2016年6月13日 11:00 ]

リオ五輪出場を逃した男子バレーの南部監督(中央)

 五輪出場権を逃す、という結果に終わった男子バレーの世界最終予選。敗因分析を求められた南部正司監督は、国内リーグのあり方についても言及している。その中で最も気になった部分を要約すると、こんなふうになるだろうか。

 「すべてのポジションの選手がレベルの高い海外リーグで経験を積む必要もあるが、現在の男子で最も得点源となるべきオポジット(セッター対角のスパイカー)は国内リーグで外国籍選手を使うチームが多く、特に日本人の育成が進んでいない」

 実はこれ、日本スポーツ界の課題を指摘したものでもある。

 団体球技の国内トップリーグに所属するチームはほとんど、企業やクラブが運営している。長期的な運営を考えると健全な収支が必要であることは当然。そして、安定した収入を得るための条件の1つが、成績だ。地域密着を打ち出したところで、やはり成績が動員を生み出し、ビジネスを創出するのは過去の例をみても明らかだろう。

 では、成績を残すためにどうするか。もっとも簡単なのは力のある選手を集めることだ。そして、対象はおのずと外国籍選手に広がっていく。プロ野球でいえば、主軸を打つ野手であり、先発を任せられる投手。バレーボールでいえば、長身でパワーあふれるオポジット、というわけである。そのポジションを外国籍選手が埋めていけば、相対的に日本人選手はそのポジションで経験を積む機会が減る。

 個人的には、日本プロ野球は興行の世界に近く、それで成り立てばいいと思う。一方で「日本代表」を頂点とするスポーツの場合、普段の強化の場面ともなる国内リーグと、国際大会で招集される代表チームの強化方針にズレが生じることは、プラスにはならない。ただし、国内リーグの隆盛なくして、国際的な成果が出るかといえば、はなはだ疑問。そして、国際的活躍なしに国内の盛り上がりがあるかと言われれば、それも違う気がする。

 となれば、やはりリーグ内のルール作りが必要ではないか。現在の日本に何が必要なのか、のコンセンサス作りを起点とする方策は、各競技団体の関係者全員で知恵を絞る時期に来ている。五輪のメダル獲得数が国の方針として挙げられている今、強化方針まで国任せになることほど恥ずかしいことはない。(首藤 昌史)

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2016年6月13日のニュース