バスケのスペイン代表、ガソルが五輪出場辞退示唆 ジカ熱感染懸念

[ 2016年5月31日 18:32 ]

リオ五輪の辞退を示唆したスペイン代表でブルズのP・ガソル

 NBAブルズのセンター兼フォワードで、男子バスケットボールのスペイン代表としてリオデジャネイロ五輪に出場する予定だったパウ・ガソル(35)が30日、ジカ熱感染への不安を理由に出場を辞退する可能性があることを示唆した。

 「これから子どもを設けようと考えている選手を含め、健康への不安を感じている何人かの選手からはすでに辞退するかもしれないと言われている。だから私1人がこのようなことを口にしても驚くべきことではない」と語ったもので、昨年の欧州選手権で優勝して五輪出場権を得たスペインの主力選手が五輪から距離を置く事態となった。

 ガソルは2001年にグリズリーズでNBAデビュー。レイカーズでは今季限りで引退したコービー・ブライアント(37)とともに09年と10年のファイナル制覇に貢献し、今季はブルズで72試合に出場して平均16・5得点をマークしている。06年に日本で開催された世界選手権では優勝してMVP。五輪でも過去2大会連続で銀メダルを獲得した。知性派として有名でバスケットボール以外でもその影響力は大。対応をおろそかにするとスペインだけでなく、欧州各国の選手に辞退への動きが広がっていくのは避けられないだろう。

 すでに沼地に隣接する場所にコースを作ったゴルフ競技に参加する予定だった各国の有力選手は続々と五輪出場を辞退。ジカ熱を直接の理由にしていないが、感染のリスクが最も高い場所での競技となるだけに今月に入って一度は参加を表明していた英国のローリー・マキロイ(27)も態度を保留している。

 前週には医学や健康に詳しい世界の有識者150人が世界保健機構(WHO)に対し、五輪の延期もしくは他の地域での開催を国際オリンピック委員会(IOC)に進言するように公開書簡を送付。WHOはそれを却下したが、ガソルは「我々は事態の重さを認識する必要がある」とこの一件に注目していることを明言した。

 ジカ熱は妊婦が感染した場合には生まれた子どもに小頭症を引き起こす可能性があるとされており、WHOによれば国内での感染者が確認されている国と地域は24。ブラジルを含めて広範囲に感染が広がる危険性が指摘されている。

 AP通信によればガソルは「自分には正確な情報を得てそれを選手にきちんと伝える義務がある。この件に関しては情報をすべて公開することが大切だ」と主張。母が医師で父が看護師という家庭環境の下で育ち、バスケットボールの選手にならなければ医学の道に進んだだけに多くの選手がガソルに意見とアドバイスを求めているようだ。

 工事の遅れ、環境汚染に続いて襲いかかったジカ熱問題。ガソルを中心とする五輪開催への“懐疑派”は、さらに増えていく気配を見せている。

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