錦織 8強届かず…1時間の中断で流れ一変 痛恨ミス45本

[ 2016年5月31日 05:30 ]

全仏オープンテニス4回戦 ポイントを奪われ悔しがる錦織圭

全仏オープンテニス 第8日 男子シングルス4回戦

(5月29日 パリ・ローランギャロス)
 世界ランキング6位で第5シードの錦織圭(26=日清食品)が雨に泣いた。男子シングルス4回戦で世界12位のリシャール・ガスケ(29=フランス)に4―6、2―6、6―4、2―6で敗れた。リードしていた第1セット途中で約1時間の降雨中断。再開直後に流れが一変し、2年連続の8強入りを逃した。30日に予定されていた第9日は全試合が雨のため中止。一日の全日程が中止されるのは、00年5月30日以来2度目となった。

 シューズの裏についた赤土をラケットで払い落とし、錦織は足早にコートから立ち去った。「ベスト4、決勝にも行ける可能性を感じていた。もったいないというか悔しい」。うつむいたまま、拍手を送る観客にはいちべつもくれなかった。

 どんより灰色に濁ったパリの空が恨めしかった。試合開始と同時にぱらつき始めた雨は、4―2とリードして迎えた第7ゲームで本降りに。錦織がブレークポイントをしのぎ、40―40に戻した場面で中断となった。

 約1時間後、再開された試合は様相が一変した。コーチの助言を受けたガスケはペースを上げ、錦織はミスを重ねた。「一番は(ボールが)重くなったことで決定打が取れなくなった」。ボールは湿気を含み、開始時に17度だった気温も下がり一層飛びにくくなった。

 「ボールが重いのでクリーンに打てなかった」とサイドラインを割ったり、甘くなって簡単に逆襲に遭うばかり。再開後の6ゲームを立て続けに失って流れは相手に渡った。あとがなくなった第3セットこそ意地を見せたものの、第4セットの第1ゲームをすぐにブレークされて逃げ切られた。凡ミスの数はガスケが19本。錦織は倍以上の45本を数えた。

 昨年まで6連敗と苦手だったガスケにも今季は前哨戦で2連勝していた。ただし今大会のコートについて「ボールもそうだけど、ここのコートは重いイメージがある」と話していた。その感触に雨が拍車をかけた。ガスケには恵みの雨、錦織には恨みの雨となった。

 風に翻弄(ほんろう)された昨年準々決勝のツォンガ戦に続いて、自滅に近い形で地元フランス勢の引き立て役に回った。「雨に対しての調整ができてなかった。自分が焦ってミスが多くなった。そういうのをなくしていきたい」。4大大会初制覇のために、敵は目の前の相手ばかりではなかった。

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