稀勢の里 綱いだ連続13勝 来場所「優勝」で昇進見通し

[ 2016年5月23日 05:30 ]

日馬富士を激しく攻める稀勢の里(左)

大相撲夏場所千秋楽

(5月22日 東京・両国国技館)
 大関・稀勢の里が望みをつないだ。横綱・日馬富士を押し出して、2場所連続の13勝。審判部は名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)で再び綱獲り場所となるという見解を示し、勝ち数にかかわらず優勝が昇進の条件となる。20代で果たせなかった優勝と横綱昇進を、30代で迎える最初の場所でかなえる。14日目に37度目の優勝を決めていた横綱・白鵬は横綱・鶴竜をうっちゃり、昨年初場所以来となる12度目の全勝優勝とし、自身の持つ最多記録を更新した。

 自分を信じて、稀勢の里は前に出た。日馬富士戦で考えていたのは「思い切りいくこと」だけ。差し手争いから突っ張り、左をのぞかせると圧力をかけて走った。勝負どころでことごとく土をつけられてきた相手を圧倒。「来場所につながる相撲が取れた」と納得の表情を浮かべた。

 13日目からの連敗で白鵬に優勝をさらわれ、場所後の横綱昇進は消えたが、2場所連続13勝で希望の光が再びともった。二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は名古屋場所での綱獲りについて「優勝が第一条件」と説明。今場所は3横綱を倒した上での14勝以上が“ノルマ”だったが、「先場所も13勝、今場所も13勝を挙げているから」と優勝なら勝ち星に関係なく昇進させる見通しであることを明かした。

 今場所は春場所前と同様の調整方法は選ばなかった。「先場所を維持するのではなく一からつくり直していく」。春巡業では横綱大関で唯一、精力的に朝稽古の土俵に立ち、横審稽古総見、二所ノ関一門の連合稽古では琴奨菊らとの申し合い、三番稽古を繰り返した。稽古はうそをつかない。場所前にしっかりやれた分、場所後半でも「疲れはない」という状態で乗り切れた。「星数もよく、体も動いてくれた」と手応えをつかんだ。

 30歳で迎える名古屋場所。重要視するのはやはり体づくりだ。「巡業もないですけど、しっかり調整して名古屋に乗り込んでいきたい。日頃からもっともっとやらないと」と、20代以上に汗をかき続ける覚悟だ。

 亡き先代師匠の元横綱・隆の里が初優勝を飾ったのは初土俵から86場所目の82年秋場所だった。来場所は稀勢の里も86場所目を迎える。機は熟した。白鵬をはじめとする3横綱の分厚い壁を、今度こそ崩してみせる。

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2016年5月23日のニュース