白鵬 稀勢をぶん投げた!「綱は宿命」全勝対決制す

[ 2016年5月21日 05:30 ]

白鵬が下手投げで稀勢の里を下す

大相撲夏場所 13日目

(5月20日 両国国技館)
 横綱・白鵬が大関・稀勢の里との全勝対決を左下手投げで制して単独トップに立った。あえて相手得意の左四つに組んで大事な白星を勝ち取る“有無を言わせぬ強さ”を大一番で披露。14日目に横綱・日馬富士に勝ち、稀勢の里が横綱・鶴竜に敗れれば、自身の持つ史上最多記録を更新する2場所連続37度目の優勝が決まる。

 ここ一番の勝負どころで、これ以上ない横綱相撲を見せつけた。本来は右四つを得意とする白鵬の狙いは、なんと稀勢の里の形である左四つで臨むことだった。

 「勝つなら勝ってみい、それで横綱になってみろという感じだった」

 立ち合いで右から張って思惑通りに左差し右上手で前へ走る。土俵際まで寄ったところで自身の上手が切れて攻防が一瞬止まったが、積極的に攻め続けたのは横綱の方。半身の体勢から下手で振って回り込み、再度動きが止まってもまたすぐに下手で振る。そして立ち合いから19秒1。粘り強く打ち続けた3度目の下手投げに大関の体がついにぐらりと崩れ、頭を押さえつけながら豪快に転がした。

 全勝対決を制した勝負後、礼に戻る稀勢の里の背中を触って健闘を称えた上で、今場所最多58本(手取り174万円)の懸賞を誇らしげにつかみ取った。引き揚げてきた支度部屋。勝敗を分けた点について、「相撲の神様が私の方にほほ笑んでくれたとしか思えない。今日の一番は(大関が)勝っていいんだよという感じだったが、勝てなかったのは何かが足りない」と余裕の表情で振り返った。今場所が終われば横綱生活も10年目に突入する。この日の朝は稽古を休んで体力回復に努めた白鵬は自らと大関の違いを「強い人が大関になる。宿命のある人が横綱になる」と誇らしげに語った。

 14日目に稀勢の里が敗れた上で、自身が日馬富士に勝てば37度目の優勝が決定。この日の白星で通算1000勝まで残り15勝となり、来場所で挑戦できる権利も得た。前半戦は勝負後のダメ押しによって厳しい目を向けられたが、今場所最大の注目を浴びる中で誰にも文句を言わせぬ相撲を披露。「もう2日集中して今日みたいな相撲を取る」。周囲の想像のはるか上を行く思考回路と心の強さを持つ31歳が12度目の全勝優勝をターゲットに定めた。

 ▽白鵬と稀勢の里の全勝対決 13年夏場所に続き、今回が2度目。前回は14日目に対戦し、白鵬は巻き替えられて相手得意の左四つとなったが、自らも倒れ込む左からのすくい投げで退けた。白鵬は千秋楽で日馬富士を倒して2場所連続全勝優勝。一方の稀勢の里は琴奨菊に敗れて13勝2敗に終わった。

 ▽白鵬の夏場所成績 新入幕だった04年は12勝を挙げ敢闘賞受賞。新大関場所の06年は14勝で初優勝。07年は初の全勝優勝で場所後に横綱昇進。10、11、13、14年も優勝。12年は10勝止まりだった。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月21日のニュース