日本 最終セット6―12から大逆転!サオリン涙

[ 2016年5月19日 05:30 ]

フルセットの末に勝利をつかみ涙を流して喜ぶ木村(中央)ら日本選手たち

バレーボール女子リオデジャネイロ五輪世界最終予選兼アジア予選第4日 日本3―2タイ

(5月18日 東京体育館)
 大逆転だ!ロンドン五輪銅メダルで世界ランキング5位の日本は同13位のタイに苦しみながらも逆転し、3―2で競り勝った。先行を許す苦しい展開ながら、最終第5セットは6―12から相手が2度のレッドカードを受けたことによる2点も絡んで8連続得点で逆転した。フルセット勝ちのため獲得した勝ち点は2にとどまり、2位から4位に後退したものの、4大会連続の五輪切符獲得へ望みをつないだ。日本は20日、同7位のドミニカ共和国と対戦する。

 「火の鳥」は不死鳥でもある。どんな窮地に追い込まれても諦めなかった。タイに先行を許しながら驚異の粘りで追いつき、最終セットも6点リードを許しながら逆転勝ち。バレーボールでは見慣れないレッドカードが飛び出した劇的な戦いを制し、木村主将は「絶対ここで終わらせない気持ちで戦いました」と涙を浮かべて歓喜に浸った。

 韓国に負けた前日の悪い流れを引きずった。第1セット、サーブやサーブレシーブでミスが続き、20―25で落とした。真鍋監督の決断は早い。「苦しくなったら、メダリストを使おうと思っていた」。韓国戦で右手小指を痛めてベンチスタートだった木村を投入。ロンドン五輪メンバーの迫田、山口、荒木らベテランをコートに並べた。

 小指にテーピングした木村は安定したレシーブでチームを落ち着かせ、第2セットを奪取。それでも波に乗りきれない。再び第3セットを落とし、第4セット21―22と追い込まれた。この窮地を木村が救った。「20点以降は得意。そこまでよくなかったので、点が欲しかった」。3本連続でスパイクを決め、何とかフルセットに持ち込んだ。

 木村を中心に粘る日本に幸運も味方した。最終セットは6―12の絶体絶命のピンチ。ここから日本が2点連取したところで、相手指揮官にレッドカードが出て、労せず1点が転がり込んだ。意気消沈する相手から石井の強打などで加点。さらにもう一度レッドカードで1点が加わり、8連続得点で14―12と逆転。1点は返されたが、最後は迫田がスパイクを決めた。

 格下のタイに負けていれば、リオへの道は相当険しいものになっていた。真鍋監督は「首の皮一枚つながった」と息をついた。木村は奇跡的な逆転劇をこう表現した。「消えそうな光をみんなで信じて、最後まで手をつないでプレーした結果です」。厳しい戦いを勝ちきった自信を胸に、火の鳥ニッポンは残り3戦全力で切符を獲りにいく。

 ▽バレーボールのイエロー、レッドカード 無作法な行為、侮辱的な行為にはイエロー、レッドの各カードが与えられる。イエローは警告だが、レッドは相手に1点が与えられ、サーブ権も移動。さらに悪質な場合は競技エリアからの退去を求められるケースもある。日本協会によると、今回は最終セットのタイが12―8でリードした場面でタイの監督に遅延行為によるイエローカードが出され、その後タイムアウト。再開後、審判に対する抗議で1度目のレッドカードが出された。さらに13―12と日本が逆転した場面でも監督による遅延行為があったと判断した審判団が2枚目のレッドカードを出した。

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